基地局インフラをAIで稼ぐ存在に MWC 2026のノキアブースで見た通信業界の次の一手
2026年03月09日 09時00分更新
MWC Barcelona 2026のノキアブースでは、ハードウェアの新製品からAI RANのデモ、7GHz帯を使った6G向け実証実験の成果まで、通信インフラの現在と近い将来を一度に見渡せる展示が並んでいた。
新型のMassive MIMOアンテナが展示
増え続けるトラフィックを捌くための重要技術
まず視線を引いたのは大型のアンテナだ。今回の主力製品として紹介されたのがトリプルバンドFDD対応のMassive MIMOアンテナ「Habrok」(32TRX)。どっしりとした存在感があった。従来はTDD方式でトリプルバンドに対応してきたが、このモデルでFDD方式でのトリプルバンド対応を実現した。北米だけでなく日本市場向けにも対応するという。
隣にはシングルバンド版も展示されており、2つを並べて見るとトリプルバンド版の物理サイズが際立って大きく、マルチバンド対応のコストが筐体にも反映されていることがよくわかった。
無線ハードウェアと並んで強調されていたのが、データセンター向けコネクティビティだ。担当者は「無線は現状維持が続くが、データセンターのコネクティビティは今後の成長領域になる」と述べた。Infinera社を買収してデータセンター向けポートフォリオを強化しており、市場シェアも伸ばしているという。
ネットワークの最適化にAIを活用するだけでなく
基地局に搭載されたGPUを多用途に転用して収益化する
続いて案内されたのが、AI RANのデモだ。2025年10月に発表したNVIDIAとのパートナーシップに基づく取り組みで、通常の5G通信を維持しながら、カメラで撮影している映像をNVIDIAのGPUとCPUでリアルタイムに処理し、「展示会場のような場所で多くの人が訪れている場面です」といった形で映っている情景をテキストとして画面に出力していく内容だった。
デモを見学している来場者にカメラを向け、その場の様子をリアルタイムで文章化して見せていた。AIワークロードと通常のRANを同一ハードウェア上で同時に稼働させられることが今回のポイントだ。
AI RAN Allianceは、AI RANの活用を3つのカテゴリーに分類している。1つ目の「AI for RAN」はRANそのものをAIで強化するアプローチで、ビームフォーミングなど低レイヤーでのパフォーマンス改善が該当する。2つ目の「AI and RAN」はAIとRANの相乗効果を引き出す活用で、ソフトバンクとの共同研究事例がこれにあたる。3つ目の「AI on RAN」は、RANに搭載したGPUをRAN以外の用途にも転用して収益化するという考え方だ。
ソフトバンクとの共同研究の事例もこの「AI on RAN」の具体例として紹介されており、通信事業者がGPUリソースをネットワーク運用以外にも活かせることを、実際の処理を動かしながら見せていた。
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