わずか4秒から再現できる仕組みとは
従来の音声合成モデル「Style-Bert-VITS2」のモデルは、比較的決められた声を学習しやすいと言われてきました。様々な音声を学習した基盤モデルを使って、10~20分の特定の声の音声データセットを用意して追加学習をさせることで、似た声を出力できるようになります。その結果、安定的に元の音声に似た声を作れるようになるのです。ただし課題があり、優れたデータを作るには、クリアで多様な音声データを用意する必要がありました。
一方、Qwen3-TTSは、より動画生成AIに近いアプローチを取っています。500万時間を超えるデータを、音声を1つずつトークン化して訓練しているとされています。その結果、LLMが文章を意味単位でトークン化するのと同様に、音声を音韻のような単位に分解し、プロンプトに対して「次にこの音が来るだろう」と予測して出力する仕組みになっています。
イメージとしては、画像生成AIのi2i(Image-to-image)を使っているような感覚です。参考音声を入れることで、その音声が解析されることで、ベースモデルから「近い音」に引きずられて、近い音声が生成されてくるというわけです。
弱点は、Style-Bert-VITS2のように毎回安定的に同じ音声が出るわけでない点です。シード値によって、毎回、微妙に声質が変わりますし、読み上げの感じがおかしくなったり、下手をすると女性の声をリファレンスにしているのに、男性の声になることもあります。ただし処理は高速で、リファレンス音声が4秒程度でも、実用的な音声が出力されます。
参照音声は長ければいいというものではないようです。別途、学習用の環境も用意されており、音声データがあれば、それを使って、安定的に固定する音声にファインチューニングできるワークフローも公開されています。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
-
第169回
AI
もはやローカル動画生成AIの枠におさまらない。MiniMax H3の奥が深すぎる -
第168回
AI
とんでもない動画生成AIが出てきた 無料で試し放題の「MiniMax H3」を徹底検証 -
第167回
AI
“Fable級が無料”は本当か AI市場を震撼させた「Kimi K3」を試した結果 -
第166回
AI
社内WebサービスをAIで開発 完成後に直面した運用の壁 -
第165回
AI
AIがBlenderを勝手に操作 3D制作のハードルが一気に下がった -
第164回
AI
AIはすでに、私たちの心を内部で再現しているのかもしれない -
第163回
AI
無料の画像生成AI「Krea 2」が話題 実写もアニメもこなす新勢力 -
第162回
AI
ローカルAIで“しゃべる推理ゲーム”を作ったら、思ったよりちゃんとゲームになってきた -
第161回
AI
わずか3日で停止された新AI「Claude Fable 5」は何がすごかったのか -
第160回
AI
寝不足になるほど面白い ローカルAIと音声合成をつないだら、キャラが普通にしゃべり始めた -
第159回
AI
AIを使える人と使えない人で、とんでもない差が出ると実感した理由 - この連載の一覧へ





