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バルセロナで語られたネットワーキング・ソブリンAI・クラウド戦略

ジュニパーを統合したHPEのネリCEO「ネットワーキングでリーダーになる」

2026年02月17日 07時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 福澤/TECH.ASCII.jp

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 分社化して10周年を迎えたHewlett Packard Enterprise(HPE)が好調だ。直近の四半期決算(2025年第4四半期)では、売上高が前年同期比14%増の97億ドルとなり、四半期売上高として過去最高を記録。売上総利益も過去最高を更新して、ARR(年間経常収益)は32億ドルと前年同期比63%増の成長をみせた。

 2025年12月、スペイン・バルセロナで開催された「HPE Discover Barcelona 2025」では、HPEのCEOを務めるアントニオ・ネリ(Antonio Neri)氏が記者からの質問に応じた。2025年7月のジュニパー(Juniper Networks)買収完了後の統合進捗、ソブリンAIへの取り組み、そしてプライベートクラウド戦略などについて語った。

Hewlett Packard Enterprise 社長兼最高経営責任者(CEO) アントニオ・ネリ(Antonio Neri)氏

ジュニパー統合と新ネットワーキング戦略 ――「次の10年のネットワーキングリーダーへ」

 HPEは事業の柱として、「ネットワーキング」「クラウド」「AI」を掲げているが、今回のイベントでは、発表から1年半を経て買収完了に至った「ジュニパーとの統合」が最大のテーマとなった。ジュニパーのCEOであったラミ・ラヒム(Rami Rahim)氏は、HPE Aruba Networkingと統合されたネットワーキング事業を率いる。ラヒム氏は基調講演のステージに立ち、顧客やパートナーにネットワーク事業の強化をアピールした(関連記事:Juniper・Arubaの技術融合でリード狙う HPE Networking「セルフドライビングNW」への挑戦)

 CEOのネリ氏によると、社員の統合も始まっており、「Rami(ラヒム氏)と新チームがこれほどの短期間で成し遂げたことを誇りに思う」と語った。

 実際に、買収完了からわずか5カ月で大規模なポートフォリオの拡充を発表。ラヒム氏は、“AIが組み込まれたAIのためのネットワーク”として「自律運用ネットワーク(Self-Driving Network)」のビジョンを掲げた。

 加えて、イベントで注目されたのが、HPE Arubaの「Aruba Central」とジュニパーの「Juniper Mist」という2つのクラウド型管理サービス(AIOpsプラットフォーム)の統合方針だ。ネリ氏はこれを「交差受粉(cross-pollination)」と表現し、次のように説明した。

 「両プラットフォームは(当面の間)共存し、互いの優れた機能を取り込みながら、時間をかけてひとつに収束していく。やがてユーザーはどちらの機能なのかを意識しなくなるだろう」(ネリ氏)

 具体的に発表された統合の内容は以下の通りだ。

■Juniper Mist → Aruba Central:
 Mist独自のユーザー体験を予測・数値化するAIモデル「ラージ・エクスペリエンス・モデル(LEM)」を、Aruba Centralでも提供。例えば、ZoomやMicrosoft Teamsなどのアプリケーションから取得した膨大なデータをデジタルツインの合成データと組み合わせ、ビデオ品質の問題を迅速に予測・検出・修正できる。

■Aruba Central → Juniper Mist:
 HPE Aruba NetworkingのAIフレームワーク「Agentic Meshテクノロジー」をMistでも実装し、AIによる高度な推論で異常検知と根本原因分析を強化。さらにMistでもAruba Centralの「Organizational Insight」と「グローバルNOCビュー」を採用し、統一されたUI体験を提供する。

■共通ハードウェア:
 新たに発表されたWi-Fi 7アクセスポイント(「Dual Platform Wi-Fi AP」)は双方から管理可能。HPE Aruba Networking CXスイッチもMistがサポートする。

 パブリッククラウドを求める顧客にはMist、オンプレミスやバーチャルプライベートクラウドを求める顧客にはAruba Centralという使い分けが可能で、「特に欧州ではオンプレミスのニーズが強い」とネリ氏。「両プラットフォームは時間をかけて互いをサポートして、あらゆるデプロイメントに対応できるようになる」と語った。

 ネットワーキングのハードウェアでも大型の発表が相次いだ。

 「HPE Juniper Networking QFX5250スイッチ」は、Broadcom Tomahawk 6シリコンを採用した業界初のOEMスイッチで、データセンター内のGPU接続向けに102.4TB/秒の帯域幅を備える。HPEの液冷技術とAIOpsインテリジェンスを融合し、次世代AIインフラ向けに高性能・省電力・運用簡素化を実現する。2026年第1四半期に提供開始予定だ。

 「HPE Juniper Networking MX301マルチサービスエッジルーター」は、コンパクトな1RUフォームファクターで1.6TB/秒の性能と400G接続を有する。AI推論やマルチサービス、メトロ、モバイルバックホール、エンタープライズルーティングなど幅広い環境に対応し、2025年12月に提供開始している。

キャンパス・ブランチ、AIデータセンター、自律運用 ―― ネットワーキングの注力領域

 ネットワーキング事業の競争戦略についてネリ氏は、「キャンパス・ブランチ市場では、ジュニパーとAruba双方がすでに素晴らしい牽引力を発揮し、シェアを伸ばしてきた。今後3~5年でこの市場のリーダーになることが我々のビジョン」と明確な目標を示した。

 データセンター領域では、AIデータセンターの大規模構築において、データセンター相互接続(DCI)用途でJuniper PTXルーターが強みを持つと強調。上述の新製品群とトップオブラックスイッチ、スケールアップスイッチ、コンピュートを含めた包括的なポートフォリオで「データセンター領域を市場以上のペースで成長させる」と意気込みを示した。

 さらに、IT運用管理SaaS「HPE OpsRamp Software」の強化とGreenLakeとの連携深化により、コンピュート(Compute Ops Management)、ネットワーク(Aruba Central、Juniper Apstra)、ストレージのテレメトリを集約。ハイブリッドIT環境全体の可観測性を一元化する「真のハイブリッドコマンドセンター」の実現を目指す。自律運用ネットワークとAIOpsの高度化を通じて、「HPEは次の10年のネットワーキングリーダーになる」と自信をのぞかせた。

 ジュニパーとの統合がパートナーに与える影響についても言及した。ジュニパーとArubaのパートナー重複はわずか10%であり、残りの90%のパートナーは巨大な機会を得られることを強調。トレーニングやイネーブルメント、認定の体系的な推進が鍵になると語った。

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