【JSTnews2月号掲載】次世代人材育成事業
小中高生の可能性を広げる「次世代科学技術チャレンジプログラム」
2026年02月11日 12時00分更新
JSTが実施する理数系分野で優れた意欲や能力を持つ児童・生徒を対象とした「次世代科学技術チャレンジプログラム」。学校の勉強の範囲にとどまらない探究心を大きく伸ばし、未来の科学技術・イノベーションを担う人材を育成することが目的だ。その概要と2025年11月に開催された研究発表会である「サイエンスカンファレンス2025」の模様を紹介する。
大学や高専、多彩な講座を実施
最先端研究にアクセスする機会
「次世代科学技術チャレンジプログラム(STELLAプログラム)」は、これからを担う若い世代から科学技術・イノベーションをけん引する人材を育成するために、2023 年度に始まったプログラムだ。Society5.0の実現において、未来を創造する科学技術人材の体系的育成や、才能ある児童・生徒が最先端の研究にアクセスする機会の充実は不可欠である。
STELLAプログラムは、理数系分野に優れた意欲と能力を持つ小学校高学年から高校までの児童・生徒を対象としている。児童・生徒の興味に応え、能力をさらに伸ばしていくために、採択された大学や高等専門学校、公的研究機関などの各機関が、多様な育成プログラムを開発・実施する。小学5年生~中学3年生を対象とした小中型、高校段階相当の生徒を対象とした高校型、小学5年生~高等学校・高等専門学校3年生を対象とした小中高型の3タイプがある。
希望者は、興味のある機関に応募し、選考を経て参加する仕組みだ。講義や実験・実習、グループワーク、研究発表などを通じて、大きく成長できる機会を得られる。
日本各地の機関で
さまざまな取り組みを実施中
STELLAプログラムと、その前身の「グローバルサイエンスキャンパス(GSC)」「ジュニアドクター育成塾」は、各地の大学や高等専門学校など全国38機関で実施中だ。機関によって、文理融合教育を展開するものや情報分野に特化したもの、小中高生が一堂に会して学び合うものなどさまざまな取り組みがあり、原則居住地に関係なく応募が可能となっている。
詳細は各プログラムのウェブページをご覧ください。
・次世代科学技術チャレンジプログラム
・グローバルサイエンスキャンパス
・ジュニアドクター育成塾
イベントで小中高生100人が発表
ハイレベルな研究多く、交流盛ん
2025年11月1日から3日まで、東京都の日本科学未来館で「サイエンスカンファレンス2025」が開催された。このイベントはSTELLAプログラム、GSC、ジュニアドクター育成塾の受講生約100人が、これまで取り組んできた研究を発表する場だ。
小中の部ではポスター発表があり、審査の結果、特に優れた探究活動に贈られる「ジュニアサイエンス賞」の受賞者3人などを表彰した。また、高校の部はポスター発表による1次審査の後、口頭発表による2次審査があった。2次審査では質疑応答を含め1人15分の持ち時間で研究内容を発表し「文部科学大臣賞」をはじめとする各賞を決定した。
小中の部、高校の部とも受講生同士の交流が非常に盛んだった。「サイエンスカンファレンスでの経験を通して、さらに成長してくれることを願っている」と小中の部の神﨑亮平審査委員長は語った。高校の部の大路樹生審査委員長は「レベルの高い研究が多く、口頭発表では受講生から数多くの質問が寄せられ、活発な議論だった」とコメントした。
サイエンスカンファレンス2025
高校の部・文部科学大臣賞 受賞者インタビュー
「ゲンゴロウ類の形態の進化に対する流体力学的考察」
数値化して証明したかった
プログラミングで試行錯誤
「現在生息しているゲンゴロウの形態には何らかの適応や機能があるはず」という思いで研究を始めたという宮嶋櫂(かい)さん。「好きな昆虫の進化を調べたいと思った時に、生物学的なアプローチだけではなく数値化して証明したいと思いました。学校でさまざまな研究を進める中で、ゲンゴロウがどのように進化してきたかシミュレーションする際に流体力学を活用できるのではとひらめきました」。しかし、数学とプログラムコードの知識が必要で、高校の授業や独学では限界があったため、東京大学が実施するSTELLAプログラムの企画「UTokyoGSC-Next」に参加した。
「最も苦労したのは流体解析のためのプログラミングです。研究指導の先生からのアドバイスでオープンソースも活用しながら試行錯誤を繰り返しました。2年越しでうまく解析できた時は本当にうれしかったです」と宮嶋さんは振り返る。「UTokyoGSC-Nextに参加していろいろな方と出会うことができ、専門的な知識や研究手順だけでなく研究発表の方法など幅広く学べました。今後も、興味関心を突き詰めながら、自分なりの軸を持って研究を続けていきたいと思います」。

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