「捨てない、我慢しない、無駄にしない」 TechGALAで見つけた食をアップデートするスタートアップ3社
TechGALA Japan 2026、ナディアパーク会場レポート
2026年1月27日~29日の3日間、愛知県名古屋市にてテクノロジーの祭典「TechGALA Japan 2026」が開催された。国内外のスタートアップや投資家、事業会社が集まるこのイベントは、2025年に初開催されたばかりながら、すでに中部エリア最大級のテックイベントとして存在感を増している。
2回目となる今回は、出展者数が昨年の倍近い250社以上に拡大。会場には多彩な技術やサービスが集まった。本記事では、複数ある会場の中からナディアパークの展示会場にフォーカス。取材班が歩き回る中で気になった、フードロスや食の当たり前をアップデートしようとするスタートアップ3社をピックアップして紹介する。
味は変えずに、体だけ整える? 熊本大発「振りかけ健康テック」
熊本大学薬学部発のスタートアップ、株式会社サイディンは、「味ではなく、体を整える調味料」という、なかなか攻めたコンセプトの機能性食品だ。
使われているのは、オリゴ糖の一種である環状オリゴ糖(シクロデキストリン)。バケツのような構造を持ち、食事に含まれる余分な脂質を吸着して体外へ排出する働きがあるという。粉末タイプで、料理に振りかけて使う。
無味無臭で、「煮る、焼く、揚げる」といった調理にも耐えられるため、料理の味を変えずに使えるのが特徴だ。サプリメントのように飲む必要はなく、いつもの食事の中に取り入れられる。
代表取締役社長の弘津辰徳氏は、その狙いについて「我慢したり制限したりする健康法ではなく、美味しい食事を楽しみながら体を整えてほしい。だからサプリではなく、あくまで『食品』として届けたいんです」と語る。
もともとは抗がん剤研究から派生した技術だが、まずは事業化のハードルが比較的低い食品分野から展開。現在は熊本県内の薬局やスーパー、オンラインを中心に販売が進んでおり、「食卓に置く健康習慣」を目指している。
使い捨てをやめると、運営コストも下がる。イベント現場のリアルな解
株式会社カマンが展示していたのは、「捨てない前提」で使うリユース容器と、その回収と管理まで含めた運用システムだ。
日本では年間約800万トンのプラスチックが廃棄されており、その約半分を占めるのが容器包装。カマンは「リサイクルの前に、まず使い捨てを減らす」ことを狙い、500回以上繰り返し使える容器を開発している。
特徴は、容器単体ではなく、「回収、洗浄、再配布」までを前提に設計されている点だ。QRコードやRFIDを用いて、回収数や削減できた使い捨て容器の量を可視化。イベント主催者側が環境効果を数字で把握できる。
すでに実証は進んでおり、湘南ベルマーレやFC東京などJリーグのクラブを中心に導入が拡大。バスケットボールやF1の一部チーム、地域の祭りなどでも活用されている。
「2万人規模のJリーグの試合だと、使い捨て容器代だけで100万円を超えることもある。そこをリユースに置き換えるだけで、環境負荷もコストも大きく変わります」(代表取締役の善積真吾氏)
環境配慮を善意に頼るのではなく、現場の運営コストと結びつけて成立させる取り組みだ。
売れ残りが駅ナカで売れる? 冷蔵ロッカーでつなぐフードロス対策
CiPPo株式会社が展示していたのは、駅や店舗近くに設置する「冷蔵ロッカー」を活用したフードロス削減の仕組みだ。
パン屋やケーキ店、スーパー、コンビニなどで営業時間内に売り切れなかった生鮮食品を、廃棄する代わりに冷蔵ロッカーへ移し、仕事帰りの利用者などに半額で販売する。
ポイントは、「営業時間中に値下げしない」設計にある。多くの小売店がブランド価値を理由に値引きを避ける一方、閉店後に廃棄するタイミングであれば心理的ハードルは低い。CiPPoは、その「最後の一手」をロッカーに置き換えた。
ロッカーは冷蔵仕様で温度管理も可能。ケーキや惣菜、魚など幅広い食品に対応する。さらに、売れ残った商品は困窮支援にも活用。マイナンバー連携による本人認証を通じて、シングルマザーなど支援対象者に無償提供する仕組みも組み込まれている。
現在は神戸エリアの駅構内や、コンビニチェーンとの実証実験(仙台など)で運用中。今後は鉄道会社との連携を通じて、駅ナカや店舗前への設置拡大を目指している。

































