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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第139回

AIフェイクはここまで来た 自分の顔で試して分かった“違和感”と恐怖

2026年01月12日 07時00分更新

文● 新清士

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NSFW対応AIならディープポルノも容易に

 今年、様々なディープフェイクが登場すると予想がつきますが、もう少し踏み込んで、センシティブなディープフェイクが、今、どの程度技術的に作ることが可能なのかもあえてご紹介しておきます。

 以下の画像は、筆者の画像を参照して、筆者が20歳代の女性にして条件でNano Banana Proで生成した画像です。この画像を、Nano Banana Proでビキニ水着にしたものが右上です。左下のGrok Imagineでもビキニ水着はすぐに出ます。ただし、どちらも表現規制判定に引っかかるため、直接的にヌードを生成することはできません。しかし、商用AIサービスでも、NSFW(仕事中に適切でないの意味)に対応した画像を生成できるサービスもあるため、それらを使うとヌード画像を生成することができます。いずれも生成にかかる時間は10~30秒程度です。技術的にはディープフェイクは容易になっています。

各サービスの生成結果の違い。NSFW画像にはモザイクをかけてあります

 ただし、ディープフェイクを作成すること自体がすぐに犯罪になるかというと、そうではありません。今、日本では、「同意のない性的ディープフェイク」や「詐欺なりすまし」への対処、それを「拡散するプラットフォーム側の削除義務」を通じて違法なディープフェイクを抑制しようという動きが中心です。

 12月18日に、警察庁は「児童の性的ディープフェイク被害・加害防止のための広報啓発資料」を公開しました。各種報道では、18歳未満の生徒や児童らの写真が悪用されたケースでは、半数余りが同級生や同じ学校の生徒らによって作成されていたという情報を元に、「軽い気持ちで他人の画像をAIで加工してSNSに投稿したら」、犯罪・人権侵害につながるケースがあるということを啓蒙する内容です。ポイントは「他人の画像」を使っているという点です。

警察庁の広報啓発資料

 同じ12月には、X上で画像を選択することで、簡単に編集できる機能を追加したことで、コスプレイヤーや芸能人などの服装を水着姿に変えて投稿する悪用ケースが相次ぎ問題になりました。1月4日(日本語では1月6日)には、違法コンテンツには厳しい措置で臨むことが発表され、1月9日には、有料ユーザーのみには使える機能へと制限がかかりました。xAIは炎上商法的に、制限が低い状態でサービスを開始して、社会的な注目を集めた後に、後から制限を加えるというのが常態化していますが、今回も同じやり方を取っているように見えます。

 もし、18歳未満の実在の子どもを使って性的な画像を作り、SNSに載せた場合には「児童ポルノ法」違反に問われますし、人を特定でき、社会的評価を下げる内容の場合には「名誉毀損」に当たります。また、コスプレイヤーを水着に勝手に改変したりする場合には、著作権侵害や肖像権・プライバシー権の侵害に当たる可能性が出てきます。この条件は、AI生成画像かどうかは関係ありません。

 ただし、筆者が自分自身を女性化した画像のように、特定の人物が存在しないものなら、違法性リスクは極めて小さくなります。とはいえ、露骨な性表現は「わいせつ物頒布等罪」で、通常の写真と同じく罪を問われる可能性があります。

 一方で、飲み会の写真も、詐欺的な使い方をすれば罪に問われる可能性が出てきます。例えば、「飲み会にはベンチャーキャピタルの有名人が参加しており、頻繁に会ってるんですよ」と、画像を使って誰かに説明するようなケースです。それによって架空の信用を作り出し、投資を受けるような事態になると、「詐欺罪」に問われる可能性が出てきます。

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