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スタートアップはM&Aを恐れるな。大企業は“外様扱い”を捨てよ

慶應義塾大学・芦澤美智子氏が示す「サステナビリティとM&Aの新ルール」

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「日本村」から出よう。挑戦する企業だけが未来をつくる

本稿で触れた内容だけでなく、市場では解決できない課題に注目した非営利領域や産業政策との絡ませ方も重要だと芦澤氏は指摘する。聞き手はASCII STARTUP編集長の北島幹雄(右)

「大企業によるスタートアップM&A」と「サステナビリティ」、そして「ルールメイキング」はそれぞれが別の課題にも思えるテーマだが、芦澤氏は共通する本質として、“境界を越える姿勢”の必要性を強調する。

「サステナビリティの文脈でも話しましたが、日本の大企業もスタートアップも、そろそろ境界を越えて考える時期に来ています。グローバルの舞台に立った途端、『日本だけ違うルールで戦っていたのだと痛感した』という声をよく聞きます。まるで日本だけ竹槍で戦っているようだ、と。日本村というローカルな枠から一度出て、『次』を考えることが大事なのです」

 国内市場だけでは成長に限界があるにもかかわらず、日本独自の慣習や内側の論理に縛られていては、世界では戦えない。

「もっと積極的に外に出てトライするべきです。その結果、失敗しても構いません。失敗は悪いことではないし、何度でもやり直せます。むしろ失敗から学べることのほうが多いのです。恐れず挑戦することが重要です」

 さらに芦澤氏は、失敗を前提にした“戦い続ける姿勢”こそが成長につながると話す。

「相手が一回転するところを、こちらは二回転、三回転して巻き返せばいい。要は戦い続けることです。特にスタートアップには、失敗を恐れず挑戦し、大企業が『ぜひ欲しい』と思うようなパフォーマンスを目指してほしいと思っています」

 そのうえで、中・長期的には、日本の大企業とスタートアップが互いの強みを持ち寄り、新しい挑戦を生み出すエコシステムが不可欠だという。

「日本では依然として大企業が多くの資源を持っています。その大企業がスタートアップと組み、新しい価値をつくるエコシステムが育てば、日本の産業界には必ず明るい未来が開けるはずです」

3/3開催|イノベーションに関わるすべての人をつなぐ日本の産業を革新するためのイベント「JID 2026 by ASCII STARTUP」

 「JID 2026 by ASCII STARTUP」
 「JID 2026 by ASCII STARTUP」は、イノベーションに関わるすべての人をつなぐ日本の産業を革新するための祭典です。本イベントの詳細は、順次公式サイトにて公開していきます。

 【開催概要】
 日 程:2025年3月3日(火) 10:00~18:00(予定)
 会 場:東京都立産業貿易センター浜松町館(3F・4F)
〒105-7501 東京都港区海岸1-7-1 東京ポートシティ竹芝(3F・4F)
 主 催:ASCII STARTUP(株式会社角川アスキー総合研究所)
 URL:https://jid-ascii.com/

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