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ウイングアーク1st「UpdataNOW25」基調講演レポート

ダークAI、人口減少、経営統合、AI利活用 課題に向き合うチャレンジストーリー

2025年11月26日 08時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

提供: ウイングアーク1st

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「こんな日が来るとは」 競合インフォマートとの連携に込めた意思とは?

 田中氏の講演に続いてはゲストセッション。1人目は、企業間取引サービス「BtoBプラットフォーム」を展開するインフォマートの副社長 木村 慎氏になる。

インフォマート 副社長 木村 慎氏

 企業間取引のデジタル化というジャンルにおいては、ウイングアーク1stとインフォマートは競合関係と言える間柄。しかし、基調講演前日にインフォマートの「BtoBプラットフォーム請求書」とウイングアーク1stの「invoiceAgent」との連携がプレスリリースとして発表され、急遽今回の木村氏の登壇になったという。田中氏は「こういう日が来るとは」と感慨深そうに語る。

 1998年に設立されたインフォマートはもともと飲食業界特化ソリューションを展開していたが、現在は見積書、契約書、請求書、受発注などのデジタル化を支援するBtoBプラットフォームを提供する。今回の提携で、請求書を発行する企業がinvoiceAgentで送ったデータを、API連携によってBtoBプラットフォーム請求書で直接受け取ることが可能になる。

 田中氏は、「お互いのお客さまが取引先で、直接データを入れられないかとリクエストを両方から受けていました。ここは業界をデジタル化するために、いっしょにやった方がよいのではないかと思い、まずはわれわれのデータをBtoBプラットフォームで受領できるようにした」と語る。

 今後はBtoBプラットフォームからinvoiceAgentでのデータ受領も可能になる。木村氏は「提供する事業者は違うかもしれないですが、お客さまからすると1つの請求書、1つの業務。そこは競争しても意味がないので、こうした連携を促進していきたい」と語った。

課題だらけの北九州市を「世界のプロトタイプシティ」へ

 2人目のゲストは、2年前のUpdata Nowに登壇した北九州市の武内和久市長。「今日が就任して997日目。しあさってで1000日になります。そんな北九州市の今の動き、これからをお話ししたい」と講演を始めた。

北九州市の武内和久市長

 人口90万人の北九州市は、日本で初めて製鉄所が造られた「テクノロジーのまち」。そんな北九州市が目指すのは「新しいことを試せるまち」だという。「北九州市は、10年後、『世界のプロトタイプシティ』になりたい。この志を持っています。新しいことを試し、官民が一体となって、プロトタイプを作り、日本や世界に伝えていきたい」と武内市長は語る。

 そんな武内氏は、36年前に九州から上京したが、そのときに読んだ「鄙(ひな)の論理」(細川護熙、岩国哲人著)に衝撃を受ける。「日本を変えるのは地方。地方にこそロマンがあり、地方でこそ新しいチャレンジができる」というメッセージに感動した武内氏は、「いつか九州に戻って、地方から日本を変えていくチャレンジをやりたい」と考えるようになった。

 こうして2年前に市長になった武内氏だが、「ありがたいことに、課題は山積みだった」という。政令市No.1の高齢化率、製鉄に依存した産業構造、5つの自治体が合併したために散在していた施設、そして水道や道などのインフラ老朽化などなど。「まさに日本が抱えているさまざまな課題が集結していた。でも、これだけの課題を抱えながら、『稼げるまち』にしたい。これが北九州市の進む方向です」と武内氏はアピールする。

2年半で潮目が変わってきた 「小倉デジタル城下町」も急成長

 この2年半でこだわってきたのは「潮目を変える」こと。そのために重要だったのが、アーリーサクセスと数字で、その1つの成果が60年ぶりとなる人口転入超過だ。「60年間、日本でもっとも長く人口が流出し続けた大都市の北九州市。その潮目がついに変わり、若い人や子育て世代が北九州市に来てくれるようになった」と武内氏は語る。

 2年半の成果は人口転入超過だけではない。企業誘致による投資額は、2年連続で過去最高を記録した。武内氏は、「北九州市には空港も、新幹線も、道路もある。年間3000人の理工系人材を輩出する14の教育機関があり、電気と水が豊富にあり、地理的に地震が少ない。いろいろな強さがあります」と語る。

アーリーサクセスで実現した8つの過去最高

 その他、北九州港のフェリー貨物量、北九州空港の貨物量、U・Iターン就職者、小倉城入場者数、モノレール輸送人員、ふるさと納税の寄付額、そして市税収入まで8つの指標で過去最高を達成。「この2年半で一気に潮目が変わってきた。これが今の北九州市の立ち位置です」と武内氏は語る。

 アーリーサクセスをより本格的な成功につなげるための施策として、「アテンション」「投資」「産業の深さ・広さ」のサイクルを回しながら、エンタメ、サステナブル、教育などを組み合わせていく。具体的には、北九州空港の延伸、洋上風力発電、日本製鉄の電炉化などを進めつつ、念願とも言える下関・北九州道路の整備手続きも開始した。

 また、帝国データバンクの調べによるスタートアップの出現率では、1位(小倉北区)、2位(小倉南区)、4位(八幡西区)が北九州市になったという。北九州の代名詞とも言える成人式のド派手衣装も、否定することなく、市長自らが着て応援。スタートアップエコシステムの拡充やZ世代課の創設、すしの都のアピール、規制緩和などの施策もあわせて紹介された。

ド派手衣装も自ら着て応援

 そしてデジタル施策に関しては「小倉デジタル城下町」を掲げ、ウイングアーク1stをはじめとして、約200社のIT企業が集積している。このうち半分は、この2年で増えた企業だという。

小倉デジタル城下町には約200社のIT企業が集積

 行政のデジタル化も進めており、職員の1/3にあたる2500人をデジタル人材としてリスキリングしていく見込み。行政手続きのオンライン化も推進しており、市役所に行かなくて済むようになるという。「こうしたチャレンジをしながら、10年後には世界のプロトタイプシティになる。ぜひみなさんも北九州市で新しいチャレンジやっていきましょう」とアピールしてパワフルな講演を終えた。

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