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Intel Tech Tour 2025取材レポート【その5】

コア密度を2倍にしたXeon 6+のClearwater Forestを製造するインテルFab 52はとてつもない大きさだった

2025年11月13日 10時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトライッペイ/ASCII

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Clearwater Forest

 これまで4回にわたり、インテルがアリゾナ州フェニックスで開催したプレス向け説明会「Intel Tech Tour 2025」(以降、ITT 2025と略)で開示された情報、すなわちIntel 18Aプロセスやそれを採用した次世代ノートPC向けCPU「Panther Lake」(開発コードネーム)について解説してきた。

 ITT 2025取材レポートの最終回となる本稿では、Intel 18Aプロセスを採用したもう1つの製品「Xeon 6+プロセッサー」(開発コードネーム:Clearwater Forest)の概要、ならびにIntel 18Aの多量生産をはじめたFab 52見学ツアーの回想録をお届けする。

「Intel Tech Tour 2025取材レポート【その1】

 インテルは最新プロセス「Intel 18A」を採用した製品の多量生産に入ったことを発表。その実現に大きく寄与した技術「RibbonFET」と「PowerVia」を解説する。

「Intel Tech Tour 2025取材レポート【その2】

 Panther Lakeのパッケージの種類やアーキテクチャーを紹介。CPUコアは前世代からどれぐらい性能が向上しているのか。

「Intel Tech Tour 2025取材レポート【その3】

 Panther Lakeの内蔵GPUアーキテクチャー「Xe3」にフォーカス!

「Intel Tech Tour 2025取材レポート【その4】

 Panther Lakeの進化点はCPUやGPUにとどまらない。NPUは通信機能まわりのアップデートも詳しく解説する。

コア密度を2倍にしたXeon 6+(Clearwater Forest)

 インテルのサーバー向けCPUブランドであるXeon 6プロセッサー(以下、Xeon 6)は用途の違う2通りのラインが存在する。1つはPコアのみで構成したXeon 6900Pシリーズ。これは数値計算やシミュレーションといったCPUコアの火力が必要なソリューション向けだ。

 そして、Eコアのみで構成したXeon 6700Eシリーズもある。こちらはデータベースやKVM、あるいは仮想マシンのようにCPUコアの火力より並列度が重要なソリューション向けの製品である。

 Clearwater ForestことXeon 6+プロセッサー(以下、Xeon 6+)は、後者のカテゴリーに属する。Intel 18Aプロセスで製造する「Darkmont」アーキテクチャーのEコアを最大288基搭載する。前世代(開発コードネーム:Sierra Forest)の最上位モデル「Xeon 6780E」と比較すると、コア数は2倍となる。

 そして、なにより重要な点は、Xeon 6+はソケット形状(FCLGA 7529)やピン配置がXeon 6と互換性があること。つまり、Xeon 6ユーザーはXeon 6+にスムースに移行できる。

 TDPは300〜500Wのため、Xeon 6を搭載するサーバーならCPUの交換でアップグレードできるわけだ。Xeon 6+という名称になった理由はここにある。

 Xeon 6+に関しては大原氏の記事に詳細な分析を掲載しているため、本稿ではざっと表層だけまとめておこう。

Clearwater Forest

Xeon 6ファミリーにはPコアベースのXeon 6900Pシリーズ(開発コードネーム:Granite Rapids)と、EコアベースのXeon 6700Eシリーズ(開発コードネーム:Sierra Forest)が存在する。今回発表したXeon 6+はClearwater Forestで、Sierra Forestの後継モデルとなる。となれば、空欄になっている右上の象限には、Cougar CoveベースのXeon 6+がくるのかもしれない。しかし、それはまだ存在すら示されていない

Clearwater Forest

Clearwater Forestのパッケージ(ヒートスプレッダーは除去している状態)。キートップの大きさ(幅約17.8mm)と比較すると、ダイの巨大さがわかるだろう。中央部の3列だけ両端より太くなっているが、この3列にのみEコアがある。線が曲がっているように見えるが、これはダイの映り込みとハイライトの加減が織りなす目の錯覚だ

Clearwater Forest

こちらは裏面。基板のギリギリまでランド(電極)を配置している。デスクトップPC向けCPUとは比べものにならないランドの数は、さすがサーバー向けといったところか

Clearwater Forest

Xeon 6+のウエハー。Panther Lake向けのウエハーとは明らかにパターンが異なる。左に掲示している通り「拡大写真を撮らないでください」とのことで、クローズアップ撮影はできなかった

Clearwater Forest

レノボ製のサーバー「CSP HD350 V4」は、PコアベースのXeon 6900Pシリーズを採用しているが、CPUだけEコアベースのXeon 6+に載せ替えられる

Clearwater Forest

メモリーは12チャンネル仕様。1枚256GBのMRDIMM(Multiplexed Ranked DIMM)を12枚搭載すれば3TBの巨大なメモリー環境を構築できる。ヒートシンクが少々歪んでいる理由は検証用機材だからだろうか……?

 Clearwater Forestは「コア密度」と「エネルギー効率」において、同社の従来製品をしのぐものになる。5年前に登場した第2世代Xeon Scalableプロセッサーで構築したサーバー群をClearwater Forestベースのサーバーに置換した場合、サーバー数は約8分の1、750キロワットもの電力が削減でき、ワットパフォーマンスは3.5倍になるという。

Clearwater Forest

第2世代Xeon Scalableプロセッサーを搭載した1400のサーバー群(70ラック)をClearwater Forestに置換した場合、180サーバー(20ラック)で済む。さて、問題はこの第2世代Xeon Scalableプロセッサーがなんなのか(当該シリーズはXeon BronzeからPlatinumまで76製品もある)は示されていないが、56コア/112スレッド、TDP 500Wの「Xeon Platinum 9282」である可能性が高い

Clearwater Forest

現時点で判明しているClearwater ForestベースのXeon 6+のスペック。メモリーはDDR5-8000まで対応という点にも注目

Clearwater Forest

Sierra Forest対Clearwater Forestの比較。コア数が2倍になっただけでなく、L3キャッシュは5倍、メモリーのチャネル数は1.5倍など、大幅なパワーアップとなった。価格は性能と同様に跳ね上がるだろう

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