中古?そりゃ爆発もするわ。バッテリー劣化を2分でチェックする新手法
中古スマホは「賭け」。外観ではわからないバッテリーの劣化
物価高のいま、スマホやノートPCをそうそう新品に買い替えるのは難しい。そこで中古を物色するのだが、気になるのがバッテリーだ。外観はきれいでも、実は「1時間しか持たない」なんてことも珍しくなく、購入はほとんど賭けのようなもの。さらにリチウム電池は劣化すると内部短絡や熱暴走による発火リスクも高まる。
EVや蓄電池のリユースは劣化診断のコストがネックに
この問題はPCやスマホに限らない。EVや家庭用蓄電池など大容量のリチウム電池でも同様で、残寿命や安全性の把握は中古流通やリユースの最大の壁になっている。従来の診断はEIS(電気化学インピーダンス法)など高価な装置と長時間の測定が前提で、現場で手軽に扱えるものではなかった。
2分で劣化を推定。新しい電池診断手法「EVANS」
そんな中、アフターマーケット(新品販売後の中古・修理・リユース市場)を狙った電池診断の研究開発を進めているのがプロスペクティブ・テクノロジーズ株式会社だ。同社はバッテリーの劣化状態をわずか2分で95%以上の精度で推定できる新手法「EVANS」を発明。安価な測定機器で利用できる点が特徴だ。
現在はこのEVANSを基盤に、劣化を引き出しやすい測定レシピのプログラム化や、ノイズなどを抑える治具装置の設計、さらにクラウドで解析・モニタリングする仕組みの構築に取り組んでいる。単なる置き換えにとどまらず、「測定プロセスそのもののリエンジニアリング」を掲げている点がユニークだ。
電池の「見える化」は中古市場を変える
この技術が普及すれば、中古スマホやノートPCは「電池診断付き」で販売でき、ユーザーは納得して中古品を選べる。EVや蓄電池でも安全性評価と残寿命の見える化が進めば、リユース市場の信頼性は一段と高まるだろう。電池の見える化は、ガジェット好きにとっての安心だけでなく、社会全体の安全性確保へとつながっていく。
ちなみに、リチウムイオン電池が世界で初めて市販されたのは1991年。ソニーのハンディーカム用に搭載され、その後ウォークマンや携帯電話にも広がり、いまやEVや家庭用蓄電池まで支える存在へと進化した。30年余りでここまで浸透したことを思うと感慨深い。
スタートアップリーグとは?
「スタートアップリーグ」は、競い合いながらも共に成長する“競争と共創”の場を提供する支援プログラム。単発で終わらせず、継続的な伴走支援によってスタートアップの成長を後押しすることを目指し、2023年度に始動した。スポーツリーグをモデルに、世界で活躍できる日本発スタートアップの創出を後押ししている。
https://startupleague.jp/































