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大阪・関西万博の熱気、レガシーをディープテック事業化の礎へ

KSAC DEMODAY 2025

特集
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 関西大学発、ディープテックのスタートアップエコシステム構築を目指す関西スタートアップアカデミア・コアリション(KSAC)は2025年9月18日、ナレッジキャピタル コングレ コンベンションセンターにて「KSAC DEMODAY 2025」を開催した。本イベントでは、昨年度実施された第1回KSAC-GAPファンドに採択された全38件のプロジェクトの成果発表およびブース展示を実施した。

 KSACは、関西地域をスタートアップエコシステムの世界的な拠点にすることを目指し、内閣府による「世界と伍するスタートアップ拠点形成」の一環として、京阪神地域で活動を開始した、全国に展開する9つのプラットフォームのひとつだ。起業家の裾野拡大と大学発スタートアップの連続的創出により、世界に伍するエコシステム構築を目指すプラットフォームとして、現在、約30の関西圏の大学に加え、産業界、金融機関、自治体など90以上の機関が参画している。

 開会挨拶に登壇した京都大学の木村俊作氏は、関西地域のスタートアップエコシステム拠点としての現状について言及した。世界のスタートアップエコシステムを調査、ランキングするStartup Genomeのレポート「Global Startup Ecosystem Report 2025」にて、関西地域は71位から80位に位置しているが、特許出願数や論文数を基準に評価される指標では、関西地域は世界で11位と高い評価を受けており、潜在能力が高さはあるとした。そのうえでスタートアップのエコシステムとしての評価を上げるには、更なる支援の広がりが必要と本イベント後のネットワークにも期待を示した。

 続いてトークセッション「万博から始まるイノベーションと大学発スタートアップの挑戦」では、日本ベンチャーキャピタル株式会社 西日本支社の垣内新吾氏、リバスキュラーバイオ株式会社 CEOの大森一生氏、株式会社TearExo 代表取締役で神戸大学大学院工学研究科博士課程前期課程修了 修士(工学)の堀川諒氏が登壇し、モデレーターの三井住友海上火災保険株式会社 関西企業営業第三部 部長であり、大阪・関西プロジェクトチーム チームリーダーを務める土屋毅雄氏のもと、「EXPO 2025 大阪・関西万博」を契機とした事業機会の創出や大学発スタートアップの挑戦と課題について議論を行なった。

 大阪大学発スタートアップのリバスキュラーバイオ大森氏はこの1年間、万博の会場だけでなく大阪中でイベントが開催されており、多様な方々とのマッチングや、賞金付きピッチコンテストへの出場など、機会の多さそのものが非常に重要であったと述べている。日本ベンチャーキャピタルの垣内氏も、万博のHealthcare Pavilionの審査員として、80社の応募を審査した経験から、キャピタリストとして体のサインをその場で迅速に検出できる技術を持った企業に興味を持った。また関西のディープテックやサービス系の「潜在能力はかなりある」と感じたと述べた。

 神戸大学発スタートアップのTearExoの堀川氏も一般のユーザーからの「生の声」を直接聞くことができた点を成果として挙げた。万博で企業との出会いをきっかけに、美容院で涙の検査を行なうという新しい事業開発を開始した。「アフター万博」として今後も継続する考えを示したとし、万博がレガシーを残すための「礎」となっていると述べた。

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