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最新トレンドから見たデータセンター選び・2025年版

「データセンターの地方分散」から「ワークロードシフト」「地域経済の発展」まで

地方データセンターの役割と価値を変える「ワット・ビット連携」とは?

2025年10月16日 11時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本国内のデータセンターは、およそ6割が関東圏、およそ2割が関西圏に集中している。そして、それ以外の地域にあるデータセンター(以下「地方データセンター」と呼ぶ)の位置づけは、地域内での利用ニーズを満たすものか、都市圏のデータセンターを補完するもの(ディザスタリカバリ=災害対策用途など)というケースが大半だった。

日本国内のデータセンター(DC)は関東/関西圏に集中している(出典:総務省)

 こうした地方データセンターの位置づけが、これから10年ほどの間に大きく変わろうとしている。そのキーワードは「ワット・ビット連携」だ。サステナブルな産業振興として政府も注力するこの取り組みを、全国で始まりつつある実証プロジェクトなどとともに見てみよう。

ワット(電力)とビット(情報通信)のミスマッチ解消へ「ワット・ビット連携」

 ワット・ビット連携とは、“電力(ワット)”と“情報通信(ビット)”のインフラを効果的に連携させることで、産業のデジタル化を推進する「DX(デジタルトランスフォーメーション)」と、脱炭素エネルギーやクリーンエネルギーの活用を推進する「GX(グリーントランスフォーメーション)」を同時に達成していくという考え方だ。2025年2月に政府が発表した「GX2040ビジョン」の中でも取り上げられている。

 冒頭で触れたとおり、従来のデータセンターの多くは大都市圏(東京/大阪)に設置されてきた。しかし、脱炭素エネルギーやクリーンエネルギーの電源集積地は、そうした大都市圏ではなく地方にある。ワット・ビット連携は、この大きなミスマッチを解消して、国内での「DXとGXの両立」を目指すものである。

ワット・ビット連携で「DXとGXの両立」を目指す(出典:内閣官房)

 実は、本特集の第2回で取り上げた「AIデータセンターの電源地域への設置」も、この考え方に基づく動きの1つだ。

 ただし、ワット・ビット連携の将来像では、さらに高度な取り組みまで想定されている。三菱総合研究所(MRI)が2025年10月に発表した「【提言】ワット・ビット連携:AI時代のインフラ国富論」では、ワット・ビット連携の取り組みを3つのフェーズ(ワット・ビット連携 1.0/2.0/3.0)で整理している。「インフラ配置の最適化」がフェーズ1.0、「運用の最適化」が2.0、そして「地域経済への波及」が3.0だ。

ワット・ビット連携の概念図(1.0~3.0)(出典:三菱総合研究所)

 MRIでは、ワット・ビット連携2.0の具体的な姿を「電力需給の変動と計算負荷の変動をマッチングさせるワークロードシフト」と説明している。電力の需要と供給は、季節や時間帯、天候などによって大きく変動する。その変化をうまくとらえ、「電力が余っている場所とタイミングで、計算処理(=ワークロード)を実行する」ことを目指す、というわけだ。

 もちろん、ワット・ビット連携が描く理想像の実現には、さまざまな技術的、ビジネス的な課題がある。現段階は、その実現可能性を探る実証プロジェクトが始まりつつある段階である。続いて、全国での取り組みを見てみたい。

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