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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第200回

市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 9月6日~9月12日

行政のAI導入は「ソブリンAI」が鍵/“疲労による企業の経済損失”従業員あたり年23万円/Z世代がもたらす「視覚伝達文化」、ほか

2025年09月16日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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[生活] “疲労による経済損失”は年15兆円規模、1人当たり22.7万円の損失で企業経営の重大課題(日本リカバリー協会、9月10日)
・「疲労による企業の経済損失」を初算出、年間15.2兆円規模
・健康問題による労働パフォーマンス低下の総損失は37兆円、その4割を占める
・従業員1人当たりにすると「年間22.7万円の損失」が発生

 国内10万人の健康調査データを活用し、産業医療や疲労研究などの団体と連携して“疲労コスト”=疲労による経済損失額を算出した。プレゼンティーイズム(健康問題による、働くパフォーマンスの低下)による総損失は37兆円に及ぶが、そのうち疲労関連が4割超の15.2兆円を占める結果となった。男女に分類すると、男性が約7割。また、従業員一人当たりの疲労による経済損失は「年間平均22.7万円」と算出している。

 ⇒ 日本リカバリー協会会長/日本疲労学会理事長の渡辺恭良氏は、「従来の『活動→疲労→休養』という単純なサイクルが、現代社会では十分に機能していない」「休養の量と質が十分でないことが、慢性的な疲労の蓄積を引き起こし、さらなる経済損失を来す悪循環を生んでいる」と指摘しています。休養のあり方を見直す議論が進みそうです。

疲労による企業の経済損失額は15兆円以上と推測(出典:日本リカバリー協会)

疲労による経済損失額の内訳(出典:日本リカバリー協会)

[生産性] 働くZ世代の約9割が「テキストよりビジュアル中心のほうが業務成果が上がる」、従来の組織文化とギャップ(Canva、9月10日)
・働くZ世代の89%「視覚的に業務を行うほうが、より高い成果を上げられる」
・神経科学研究でも、テキストより視覚的伝達のほうが、記憶、感情反応ともに向上
・ただし「デザイン主導」を自負する企業は22%、ギャップで従業員の意欲を損なう可能性

 日本を含む8カ国/2475名の、ビジネスリーダーとZ世代労働者を対象とした調査より。従来の企業はテキストによるコミュニケーションを中心としてきたが、Z世代はそれよりも視覚的(ビジュアル)コミュニケーションを好み、そのほうが高い業務成果を上げられると考えている。実際に、91%が「視覚的表現はテキストよりも効果的にアイデアを伝えることができる」、82%は「ビジュアルコミュニケーションのスキルは、将来のキャリアを築く上で不可欠」と認識している。AIによるビジュアル伝達力向上への期待も大きいという。

 ⇒ 企業の中に異なる世代が共存するのは新しいことではありませんが、技術の進化が速いと“世代間ギャップ”も大きくなっていくのでしょうか。Canvaでは「従来のテキスト中心のアプローチは、特にスピードを求められる協働環境において、現代のチームのニーズを満たせなくなってきている」と指摘しています。視覚的表現を重視するZ世代が、どのように職場の光景を変えていくのか、注目しましょう。

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