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小型・国産・短納期。ROMSの“ちょうどいい自動倉庫”が本格拡大へ

8平米から導入可能。中堅・中小の現場に広がる“ちょうどいい自動倉庫”

 物流・製造現場の自動化・ロボット化ソリューションを開発する株式会社ROMSは、シリーズBラウンドでの追加資金調達を発表した(リリース記事)。資金は開発・生産基盤の強化、フィールドエンジニアの採用、展示会・専門媒体を中心としたB2Bマーケティングに投じ、国内外での導入拡大を図る。同社はすでに関東近郊の複数拠点で稼働実績を積み上げており、受注も増加傾向だ。キーワードは、「小型・国産・短納期・柔軟対応」。同社 取締役 経営戦略室長 阿部翔太郎氏に、事業の概要と強みについて伺った。

“8平米から始められる”自動倉庫

 ROMSの自動倉庫は、最小8平米から導入可能だ。一般的な自動倉庫が1000平米級から、費用も数十億円規模が相場とされるのに比べ、大幅に小規模から始められる。実際の導入は100平米前後が主流で、店舗バックヤードや中堅倉庫の一角にもフィットする。

 「巨大センター前提ではなく、“小さく始めて段階的に伸ばす”設計です。これまで『規模が合わず断念していた』現場にも刺さります」(阿部氏)

保管量2〜3倍、作業効率3〜5倍にアップ

 高さ方向を活用した高密度保管により、同一面積での保管効率は2〜3倍。ワークステーションに商品が自動で届く仕組みによって、歩行や探索が減り、ピッキング生産性は3〜5倍程度まで向上が見込めるという。

 主な導入先は3PL事業者で、メーカー工場でも保管・搬送用途に活用が広がっている。物流2024年問題のドライバー不足や人件費上昇を背景に、国も自動化設備の導入を後押ししている。ROMSの“小規模から導入できる”構成は、こうした環境にも合致し、中堅・中小の現場での稼働実績が着実に広がっているようだ。

国産×内製で“短納期・柔軟対応”

 完全国内製造であることも同社の強みだ。海外製(特に中国製)を商社経由で導入する場合、ユーザー仕様への微修正でも時間とコストが膨らみがちだ。ROMSは国内で入手しやすい汎用品を多用し、設計から制御まで内製化。モノタロウやトラスコで調達できるパーツも多く、保守部材の短納期化ときめ細かなカスタマイズを両立する。さらに、平和島ラボでの連続稼働試験と実地導入を通じてエラーを潰しこみ、信頼性を磨いてきた。

 「大型設備は開発に数年かかることもありますが、当社は内製ゆえの小回りとスピードが評価されています」(阿部氏)

 同社は1000平米超の大型案件にも対応可能だが、戦略は“無差別な大型化”ではない。 現場の制約に合わせた最適サイズを短納期で納め、段階的に拡張できる構成を重視する。

 「『大は小を兼ねない』のが自動倉庫です。小型専用設計を最初から作り込むからこそ、コストもスピードも出せます」(阿部氏)

海外展開:米国での足場づくり

 都市近郊に倉庫を置く動きが強い米国でも、 “小型で柔軟”な自動倉庫の余地は大きい と見ており、同社は 米国拠点の立ち上げ を進めている。沿岸部の高地価エリアでは、日本同様にスペース制約が強く、同社の強みが活きる見立てだ。

 ROMSは「小型・国産・短納期・柔軟対応」を軸に、これまで“スルーされてきた”小〜中規模ゾーンの自動化を掘り起こす。8平米から始められるスケール、国産部材による保守性とカスタマイズ性、そして実運用に根差した信頼性を強みに、ROMSは日本の製造力を支える一手として今後の展開が注目される。