2025年9月2日、Amazon Web Services Japan(AWS)のスタートアップエンジニア向けイベント「AWS Unicorn Day Tokyo 2025」が日本で初開催された。本イベントはイノベーションを推進するスタートアップのため、AWSがパートナー、クライアント企業ととも実施したものだ。
キーノートセッションに登壇したAWSのスタートアップ事業本部技術統括部部長の濵真一氏は、AWSが「スタートアップが世界を変え、大胆なアイデアを実現できるよう支援すること」をミッションとして掲げていると包括的な支援体制を説明。
2006年に初のサービスをローンチして以来、最初にその可能性を広げたのはスタートアップだったとし、AWSを活用することで、より早く、より大規模に事業をスケールさせ、失敗を恐れずに挑戦を繰り返すことができたとした。Airbnbを例にとり、クラウドの柔軟性と拡張性がサービスを急激に成長させたと説明した。現在、数多くの産業がスタートアップのサービスにより再開発されてきたと濵氏は語る。AmazonのCEO、アンディ・ジャシー氏も、スタートアップがサービスをクラウド上で構築し、事実上すべての産業を再開発したと述べているとした。実際にPitchBookが報告した2023年のスタートアップ動向のデータによると、世界のユニコーン企業の80%以上がAWS上でプロダクトを実行しているという数字が示されているという。
スタートアップがAWSを選ぶおもな理由として、グローバルで33万社を超えるスタートアップを支援してき「チーム」、240を超えるクラウドソリューションを提供する「サービス」、無料クレジットやパートナー製品の割引を受けられるスタートアップ限定プログラムやCTOコミュニティなど支援と仕組みを提供する「メカニズム」の3つを掲げた。
続いて登壇したのはAWSのシニア生成 AI スタートアップソリューションアーキテクトの針原佳貴氏。特にAI/ML分野において、AI/MLユニコーンスタートアップの96%以上がAWSを利用しているというデータが示されていることを強調した。
同日に公開されたAWSとStrand Partnersの調査レポートによると、日本のスタートアップの84%がすでにAIを導入しており、大企業の68%や全国平均の43%を大きく上回っている。さらにAI導入済みのスタートアップの36%が新たなAI駆動型製品やサービスを開発していると報告されている。
続いてクライアントパートナー企業から日本のユニコーンでもある株式会社Preferred Networks (PFN) の共同創業者で、代表取締役 最高技術責任者の岡野原大輔氏が登壇し、同社のAI技術のバリューチェーン垂直統合戦略と、AWS活用事例を紹介した。
PFNは国産の大規模言語モデル(LLM)「PLaMo」シリーズや、AIを活用した材料設計の原子レベルのシミュレータツール「Matlantis」、業務特化型AIプロダクト群「Preferred AI」などを開発。経済産業省とNEDOのAIモデル開発支援プロジェクト「GENIAC」の第3期においてもAWSの計算基盤が利用され、大規模な分散学習基盤の構築や、膨大な量のデータ生成にAWS上のインフラが貢献していると説明した。
最後にAWSの針原氏からは、LLMの推論能力の向上により、AIエージェントが新たなサービス形態として登場していると語られた。Sakana AIの「AIサイエンティスト」の事例が紹介され、AI自体が研究アイデアを考案し、実験を行ない、論文を執筆、さらには査読までするという革新的なプロジェクトにおいて、Amazon Bedrockが活用されていることが示された。


































