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「WalkMe DAP Summit 2025」を開催、NECやServiceNowなどが導入事例を紹介

「DX迷宮」と「トランスフォーメーションの負債」からの脱却を、WalkMe

2025年08月25日 10時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 「ほとんどの企業がDXに取り組んでいる。だが、DXで素晴らしい成果を上げたという話はなかなか耳にしない。そしてデジタルを導入しても使い方を覚えてくれない、使ってくれないという悩みは多い」(WalkMe日本法人 代表取締役の小野真裕氏)

 デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)のWalkMe(SAP傘下)は7月、都内で年次イベント「WalkMe DAP Summit 2025」を開催した。2年目となる今年は1000名を超える参加者が集まった。テーマは「脱・DX迷宮」。デジタルトランスフォーメーション(DX)成功のための“最後のピース”として、DAPの機能や活用例を紹介した。

WalkMe日本法人 代表取締役の小野真裕氏、WalkMe CRO(最高収益責任者)のスコット・リトル(Scott Little)氏

デジタルの導入で「トランスフォーメーションの負債」が拡大する

 WalkMe日本法人を率いる小野真裕氏はまず、日本企業のDXの状況を冒頭コメントのように説明した。実際、DXプロジェクトの70%、調査によっては90%が成功に至っていないと数字を挙げる。その一方で、企業が利用するテクノロジーの数は増えており、そのテクノロジーもそれぞれに日々進化し続けている。

 こうした現状が「DX迷宮」だとすれば、そこから抜けだし、DXが成功するためのラストピースになるのが「DAP」だと、小野氏は強調する。

 続いて登壇したWalkMe CRO(最高収益責任者)のスコット・リトル氏は、現在の企業で「トランスフォーメーションの負債」が生じていることを指摘した。トランスフォーメーション負債とは、「技術を導入する方法」と「投資から得られる価値」との間にあるギャップだという。

 「真に未来志向で(システムを)構築している企業はわずか6%に過ぎず、大多数の企業が『トランスフォーメーションの負債』に直面している」(リトル氏)。その負債が生じるのは、「変化のペースが、それを消化して適応する我々の能力よりも速いから」だという。次々にモデルがバージョンアップしていくAIなど、変化のペースは加速する一方だ。つまりトランスフォーメーション負債は、縮小するどころか膨れ上がっていると言える。

リトル氏は、デジタル化の進展により積み重なる「トランスフォーメーションの負債」を指摘

 実際に、Boston Consulting Groupの調査によると、トランスフォーメーションプロジェクトに苦戦している企業は、過去5年間で5兆ドルを超える追加の株主価値を逃しているという。一方で、技術投資から一貫して価値を得る方法を見つけ出した企業は、同じ期間で9.3兆ドル相当の価値を創出した。「トランスフォーメーションはプロジェクト単位で管理するのではなく、核となる機能として組織に備わることで、持続的な変化を促進できる」(リトル氏)。

DAPを生み出したWalkMe、今後は分析機能とコンテンツ分野を強化へ

 それでは、“DX成功のラストピース”を標榜するDAPに関して、WalkMeはどのような技術を持つのか。

WalkMeとDAPの進化の歴史

 WalkMe創業のきっかけは、創設者の母親がバンキングアプリをうまく使いこなせなかった体験だという。「母親が自分で迷わずアプリを使いこなせる、そんな体験を作れないか」と考え、WalkMeを創業した。2011年のことだ。

 当初はシンプルなチュートリアル機能やプロダクトツアー機能を提供し、やがて2016年に「DAP 1.0」をローンチ。「デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)」という概念を市場に持ち込んだ。さらに2018年には「DAP 2.0」として、分析機能と機械学習・AI機能を統合した。

 2021年の上場を経て、SAPとの提携関係を締結。2024年、そのSAPに15億ドルで買収された。リトル氏は、WalkMeが技術変革を効率的にナビゲートするプラットフォームである点をSAPが評価した、と説明する。

 買収によってWalkMeは現在、SAPエコシステムの一部となり、技術・製品面でSAPとの協業や統合が進んでいる。

WalkMeはSAP Business Suiteへの統合が進んでいる

 今年6月に米国で開催されたSAPの年次イベント「SAP Sapphire」では、「Joule Action Bar」が発表された。Joule Action Barは、ユーザーのパーソナルAIコ・パイロット”として、SAPのAI「Joule」とWalkMeの技術を活用して業務のナビゲートを支援する”Powered by WalkMe”のツールバーだ。操作メニューやヘルプページを開くことなく、次に行うべき操作をガイドしてくれる。

「Joule Action Bar」

 披露されたデモでは、サプライチェーン担当者がServiceNowで品質問題を発見し、代替サプライヤーの調達、発注書作成、チケット更新まで、複数のシステム(ServiceNow、SAP Business Network、Gmail、S/4 HANA)を横断して、シームレスに作業を完了する様子が紹介された。例えば、Joule Action Barが次に取るべきアクションを推奨する場面では、ユーザーはServiceNowを離れることなく、システムが取得したS/4 HANAからの情報に基づく分析や影響などの要約を表示する。このように、SAP以外のアプリケーションに対しても一貫性のある体験を提供する。

 SAP CEOのクリスチャン・クライン(Christian Klein)氏は、Sapphireにおいて、「WalkMeは、SAPと非SAPアプリケーション全体でエンドユーザーをガイドするアダプションプラットフォームだ」「JouleとWalkMeの組み合わせにより、Jouleをプロアクティブで、偏在的かつ常時稼働するパーソナライズされたアシスタントが実現する」と述べた。

 リトル氏は、2025年のロードマップも紹介した。その1つが「学習(eラーニング)機能の強化」だ。具体的には、学習コンテンツのフォーマット変換などの機能が加わる予定で、これを含むデジタル学習関連の発表を2025年第4四半期に行う予定だ。SAPは、SAPの学習プラットフォームをWalkMeに移行し、現行の「SAP Enable Now」を段階的に終了することも発表している。

 もう1つが「分析機能」だ。自社内のアプリケーションについて、どのようなユーザーがどのように使っているのかといったことを、詳細に分析できるようにしていくという。

 また、WalkMeを使ってコンテンツの構築・管理を行う「WalkMe Builder」のユーザーだけでなく、事業部やマネージャーなどがニーズに基づいてコンテンツを作成できるようにする。このほか、エンタープライズ機能として拡張性、ガバナンス、セキュリティなどを強化すること、UI、そしてスクリーンリーダー支援、色彩コントラストといったアクセシビリティも強化すると、リトル氏は明かした。

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