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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第195回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 7月26日~8月1日

新卒者の“退職代行”利用が早期化、4割は「入社前の話と違う」/低軌道衛星(LEO)通信が急成長、ほか

2025年08月04日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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[自治体][人材] 自治体職員の退職率を下げるには「貢献意欲(エンゲージメント)向上」が鍵(リンクアンドモチベーション、7月30日)
・地方公務員受験者数は過去10年で28%も減少、40歳未満の退職者増加が深刻化
・エンゲージメントスコアが低い(40点未満)組織群では、退職率4%超
・エンゲージメントスコアが高い(55点以上)組織群では、退職率2%未満

 全国5自治体/職員4814名を対象に実施した「自治体における職員エンゲージメントと退職率の関係性調査」より。組織や仕事への貢献意欲(エンゲージメント)をスコア化し、5点刻みで分類した結果、55点以上の「高エンゲージメント組織群」の退職率が1.9%だった一方で、40点未満の「低エンゲージメント組織群」の退職率は4.17%と、2倍以上に。

 ⇒ 地方自治体の人手不足は、わたしたちの日常生活に直結する深刻な問題です。総務省調査によると、地方公務員受験者数は過去10年で約28%減少し、さらに、40歳未満の若手・中堅層での退職者増加が顕著とのこと。総務省でも「エンゲージメント向上」を対策の柱のひとつと位置付けており、それを定量的に裏付ける調査結果となりました。

退職率(縦軸)とエンゲージメントスコア(横軸)の相関関係が明らかになった(出典:リンクアンドモチベーション)

[退職] 2025年度新卒の退職代行サービス利用者、退職原因となった「不満」は?(アルバトロス、7月30日)
・2025年度新卒者の退職代行サービス利用、業界別では「卸売/小売」、職種別では「販売」が最多
・退職のピークは5月から「4月」に前倒し、早々に見切りを付けるケースが増加
・退職理由のトップは「入社前の契約内容と勤務実態のギャップ」で4割超

 退職代行サービスの「モームリ」が公開した、2025年度新卒者のサービス利用動向調査より。2025年3~6月の新卒サービス利用者は1072名(内定辞退の36名含む)に達し、前年同期から267名増えた。月別では「4月」の487名が最多となり、前年のピークだった「5月」は289名と“退職の前倒し傾向”が鮮明に。男女比は前年と同様に女性がやや多い(女性54.2%、男性44.9%)が、男性が前年比で約3ポイント増加。業種別の上位3つは「卸売/小売業」「生活関連サービス/娯楽業」「医療関係」で前年と変わらず。職種別では「販売」が最多だった。退職理由の4割超を「入社前の契約内容/労働条件と勤務実態の乖離」が占め、「いじめやパワハラなどの人間関係」「精神的/肉体的理由」が続く。

 ⇒ “五月病”を待たず、早々に退職を決断する新卒者が増えているようです。発表では「実際にあった退職理由」の一部も紹介されていますが、給与面/制度面で入社前の説明と実態が異なるケースのほか、「経営理念・行動基準・社員心得を一語一句間違えずに暗記・暗唱テストをさせられる」「複数の上司からの(男性新卒者への)セクハラ発言」といった、会社としての体質/カルチャーに関わるものも。あらゆる業界で人手不足が進む中、こうしたミスマッチはお互いに不幸でしかありません。

退職代行サービス「モームリ」を利用した新卒者の男女比(2024年/2025年)(出典:アルバトロス)

サービスの利用経緯。4割超が「入社前に聞いていた話と実態がかけ離れている」(出典:アルバトロス)

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