契約書など読み解き不適切な会計リスクを解析 「循環取引」の死角をAIで解明するソリューション提供開始
ジュリオ株式会社は6月19日に、2024年から開発・提供している「粉飾リスク分析AI」において、「循環取引」の死角を解明するというソリューションの提供開始を発表した。
同社によると、大規模言語モデル(LLM)などを活用した不正分析が注目されているが、その多くは有価証券報告書など公開されている財務情報を分析するに留まっているとのこと。しかし、実際の不正は、契約書や稟議書、個別の取引データといった企業の“内部情報”に隠されているという。
同ソリューションは、監査で公認会計士が確認するようなさまざまな内部情報をAIに与え、リスクを評価。公認会計士AIエンジニアが直接設計したという「会計士の視点」を持つAIシステムが、金融機関の与信審査、投資家のデューデリジェンス(DD)、企業の内部監査といった正確性と客観性が求められる場面において、実態の伴わない取引や不適切な売上計上の兆候を早期に発見することで、健全な企業価値評価とコーポレート・ガバナンスの基盤構築を支援するとしている。
新機能の会計ドキュメント解析AIでは、自然言語処理(NLP)を用いて、AIが契約書や稟議書から「検収完了をもって売上を計上する」といった収益認識のルールや取引条件を自動で抽出。そのルールに基づき、社内データから「検収完了通知メール」などの客観的証憑を探索し、会計データの日付と突合。「検収完了日より前に売上が計上されている」といった時間軸の矛盾を検知し、リスクとして警告するという。
取引データ整理AIでは、請求書や会計データに散在する「(株)ジュリオ」「ジュリオ(株)」といった取引先名の表記揺れをAIが自動で名寄せ・正規化。従来のOCR技術だけでは困難だったという高精度なデータクレンジングによって、正確な取引分析の基盤を構築するとしている。この基盤上で、「特定取引先への売上が特定の時期に不自然に急増」「A社への売上入金とほぼ同時に、実態の乏しいB社へ支払いが発生」といった異常な資金の流れや相関関係を分析し、循環取引や架空売上のリスクシナリオを提示するという。



























