日本の著作権法については文化庁資料を参照
日本国内での文化庁が2024年3月にまとめた「AIと著作権に関する考え方について」に基づくと、音楽生成AIでも、その解釈は文章や画像の場合と変わらないと考えられます。文化庁の整理では、生成AIは「開発・学習段階」と「利用・生成段階」とに分かれます。開発・学習段階に当たるのはSunoといった生成AI企業ですが、その段階の法的責任は利用・生成段階のユーザーに直接問われることはなく、ユーザーが音楽生成AIサービスを利用したからといって、その行為自体は、著作権侵害には当たりません。また、米国で裁判が進行中であることは、米国と日本のどちらでも違法状態であることも意味しません。
ただし、利用・生成段階では、重要な注意点があります。日本で利用する場合には、日本の著作権法が適応され、画像や文章等と同じく、「類似性」と「依拠性」の両方を満たすことで、著作権侵害となる可能性があることです。
たとえば、リミックス機能を使う場合に、まず、その楽曲が何かに「類似」しているかどうかが問われます。その曲が何かの曲にそっくりではないかということが問題になります。さらに、その楽曲のためオリジナルの楽曲に「依拠」していないか問われます。たとえば、リミックスの場合に、既存の曲を使っていたら、その時点で依拠性を満たしているとみなせるでしょう。しかし、それらに該当しないように作成されたオリジナル曲の場合には、著作権侵害には該当しない可能性が高いと言えます。
筆者の作成した曲『記憶になりたい』を、聞いた楽曲が何の曲かを判定する「Shazam」を使って検索をかけてみたのですが、「検索なし」でした。このアプリは正確に曲を当てることが目的のため、類似性の判定には限界があるのですが、誰かの著作権侵害をしている可能性は限りなく低い(多分、ない)と筆者は考えています。
また、筆者の制作過程は、単にAIに丸投げするのではなく、(1)テーマ設定(AIのラブソング)、(2)歌詞の生成と修正、(3)楽曲スタイルのプロンプト設計、(4)パラメータ調整、(5)生成された複数曲をリミックスしたりしながら選別、といった一連のプロセスを踏んでいます。これはAIを「道具」として利用したことが明確であるため、著作物としての成立要件である「創作意図」と「創作的寄与」の要件を満たしていると考えることができます。そのため、筆者の著作物として成立していると考えています。
文化庁が2024年8月に実施した著作権セミナー「AIと著作権Ⅱ」の資料より。著作権侵害が成立するかどうかは、類似性と依拠性の2つが問われる(文化庁のAIと著作権についてのページ)
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