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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第188回

IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 6月7日~6月13日

政治家の情報発信も「TikTok・YouTube」へ転換/夏ボーナス支給企業は微減、平均支給額は45.7万円、ほか

2025年06月16日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 今回(2025年6月7日~6月13日)は、堅調だった2024年の国内ソフトウェア市場、政治家の情報発信メディアに見られる変化、今年第1四半期の国内スマートフォン市場、今年の夏ボーナスの支給動向についてのデータを紹介します。

[ソフトウェア] 2024年の国内ソフトウェア市場、AI活用の本格化で堅調な成長(IDC Japan、6月9日)
・2024年の国内ソフトウェア市場、前年比12.1%増の5.3兆円を予測
・「生成AI」「モダナイゼーション」「セキュリティ」への投資が成長を牽引
・パブリッククラウドサービスは前年比22.1%増、初の2兆円超え

 パブリッククラウドサービス含む2024年の国内ソフトウェア市場は、前年比12.1%増の5兆3729億3300万円と推定。成長を牽引しているのは「AI/生成AIの企業活用本格化」「アプリケーションのモダナイゼーション」「サイバーセキュリティ対策」など。特に、AIプラットフォーム市場は前年比67.1%増という急成長を見せている。パブリッククラウドサービスは市場全体の4割超を占め、初めて2兆円を突破(2兆3386億円)。2025~2026年は地政学的不安定要因により成長が鈍化するものの、2027年以降はふたたび回復し、2024~2029年の年平均成長率(CAGR)は10.2%で推移すると予測している。

 ⇒ IDC Japanのアナリストは、現在の不透明な経済状況下では「業務効率の高い企業が生き残る」ことになるため、「AI/AIエージェントによる業務の自動化/効率化を企業は活用せざるを得ないだろう」とコメントしています。やはりAIエージェントの時代になっていくのでしょうか。

国内ソフトウェア市場 2024年~2029年までの予測(出典:IDC Japan)

[政治][メディア] 政治活動も動画SNSの時代? X/FacebookからTikTok/YouTubeへ(イチニ、6月13日)
・全国の政治家に聞き取り、今後の利用意向で動画SNS(TikTokやYouTube)が急伸
・従来型SNS(XやFacebook)の今後の利用意向は低く、縮小へ
・紙メディア(折込チラシ、ビラ)やブログも後退傾向、LINEは安定維持

 選挙情報プラットフォーム「選挙ドットコム」運営企業が、全国の現職/新人/元職の政治家、253名を対象に実施した「ネット選挙とメディアの利用動向調査」より。「現在利用しているメディア」と「今後利用したいメディア」を比較したところ、TikTokやYouTubeは「今後」が「現在」のおよそ2倍となり、動画SNSへの転換傾向が鮮明となった。一方で、X(Twitter)やFacebookといった従来型SNSは、「今後」が「現在」の半分程度と大幅な縮小傾向が見られる。

 ⇒ 有権者が日常的に目にするメディアに合わせて、政治コミュニケーションが変化していくのは当然と言えます。TikTokが急成長の兆しを見せているのは、若年層へのリーチを狙ってのことでしょう。ただし、動画による情報発信は、文字による発信よりも「情動的な反応」を強く引き起こす側面もあります。メッセージを受け取る有権者には、これまで以上にリテラシーや冷静な判断力が求められそうです。

政治家の情報発信メディアの利用動向。現在利用している/今後利用したいメディアと、そこから算出した「伸び率」(出典:イチニ)

上記データの回答実数(出典:イチニ)

[スマートフォン] 国内スマホ出荷台数はおよそ3割増、サムスンが倍増で2位浮上(IDC Japan、6月12日)
・2025年第1四半期のスマホ出荷台数、前年同期比28.2%増の894万台
・サムスンが2倍超の成長で2位浮上、ソフトバンク販路復活や低価格モデルが奏功
・公取委の「Google排除措置命令」で、国内ベンダーの事業環境悪化懸念

 2025年第1四半期(1~3月)の国内携帯電話/スマートフォン出荷台数実績値。スマートフォンの出荷台数は、前年同期比28.2%増と大幅な伸び。ベンダー別に見ると、シェア1位のアップルは「iPhone 16e」発売や「iPhone 15」のMNPキャンペーンなどで29.3%の増加。2位のサムスンはソフトバンクへの販路復活、エントリーモデル(Aシリーズ)の積極などが奏功して、104.8%増という大幅な成長を遂げた。3位のシャープは1.9%の減少だった。

 ⇒ 全体としては好調な四半期となりました。ただし、IDC Japanのアナリストは、今年4月に公正取引委員会が出したGoogleへの排除措置命令、また昨年末に施行された値引き規制の新ルールなどが「実質的には国内Androidベンダーの収益性や出荷数に大きく影響するルールになっている」と指摘し、国内Androidベンダーの事業環境が厳しくなることを予想しています。

2025年第1四半期 国内スマートフォン市場 出荷台数/ベンダー別シェア(出典:IDC Japan)

[報酬][雇用] 今年の「夏ボーナス」支給企業は微減、平均支給額は微増の見込み(帝国データバンク、2025年6月13日)
・2025年の夏季賞与、「あり」企業が8割超、ただし前年比2.3ポイントの減少
・「増額する」企業は3割強、平均支給額は前年比1.8万円増の「45.7万円」
・「賞与あり+増額」企業、大企業は38.4%、小規模企業は27.0%とギャップ

 全国1227社を対象に夏季賞与の動向を調べた。「賞与あり」は82.7%で、前年から2.3ポイント減った。「賞与あり」のうち、「支給額が増加」の企業は33.7%で、前年比5.8ポイントの減少。「賞与あり+増加」を企業規模で分類すると、大企業と小規模企業には11.4ポイントの差があった。平均支給額は「30万~50万円未満」が34.8%で最多で、全体平均は45.7万円(前年比1.8万円増)。

 ⇒ 「賞与あり+増額」は前年から減少しましたが、平均支給額は増加しており、“夏ボーナスが出る会社/出ない会社”の二極化が見える結果となりました。

夏ボーナス(夏期賞与)の支給状況(出典:帝国データバンク)

増額すると回答した企業の規模別割合(出典:帝国データバンク)

正社員1人あたりの平均支給額(出典:帝国データバンク)

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