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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第823回

Intel 18AはIntel 3と比較して性能/消費電力比が15%向上 インテル CPUロードマップ

2025年05月12日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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 4月29日、インテルはサンノゼでIntel Foundry Direct Connect 2025を開催した。基調講演の模様はYouTubeで視聴可能となっている。ここで、インテルのFoundry(半導体製造)に関する説明があったので、その内容を説明しよう。

Tan CEOが半導体の製造には4つの項目が重要と説明
パートナー企業との連携をアピール

 最初はTan CEOによる挨拶から始まったが、今回はあまり細かい話はしなかった。ただ、冒頭に下の画像にあるメッセージを掲げた。要するに半導体製造の事業を発展させていくためには、豊富なIPと設計フローの改善、DFM(製造可能性を高める設計)、それと歩留まりの改善という4項目が重要という話である。

Tan CEOのメッセージ。これがまさかEDAツールベンダーや製造ソリューションにそれぞれ対応している、とは見たときには考えなかった

 これそのものはごく当然の話なのだが、そのIPでSynopsys、Digital Design FlowsでCadence、DFMでSiemens EDAという3つのEDA(Electronic Design Automation)ツールベンダー、そしてDesign for YieldではExensio Foundryという製造分析とプロセス制御のソリューションを提供するPDF Solutionsの4社のCEOを招いて、その関係の深さをアピールした。

 この話は後でも出てくるが、特にIntel 18Aや後で出てくるIntel 14Aを利用しようとすると、最先端のEDAツールが必須であり、その最先端のEDAツールを提供しているのがSynopsys/Cadence/Siemens EDAということを勘案すれば、これは最先端のEDAツールがIntel Foundryをきっちりサポートします、という顧客への明白なメッセージである。

 そして最後のPDF/Solutionが提供するExensio Foundryというソリューションは、複雑な製造工程(多数の製造に関連する装置)の一元制御と、欠陥検出から原因の特定まで可能なもので、これによって製造の歩留まりを向上させられるものである。

 今回PDF SolutionのCEOを招いたというのは、Intel Foundryとして稼働する工場にはPDF Solutionの(おそらく)Exensio Foundryが導入されている(ので、製造も安心です)という、これも顧客へのメッセージと考えればいい。

 さて、これに続きNaga Chandrasekaran博士(EVP, CTOO&GM, Intel Foundry Technology and Manufacturing)より、現状に関してもう少し詳細な説明があった。まず2021~2024年のIntel Foundryへの投資額は900億ドルに達していると説明。

2021~2024年のIntel Foundryへの投資額は900億ドル。技術開発は180億ドルほどで、土地や建屋が350億ドル、製造装置類が370億ドルである。意外に土地建屋の経費が大きいと感じた(感覚的には300億ドル未満で、その分製造装置の方に上乗せがあるように思っていた)

 そして現時点で提供しているプロセスノードについて紹介した後、インテルの拠点が全世界に展開していることを説明した。ここまではほぼ既知の情報なのであるが、ここからが新しい。

現時点で提供しているプロセスノード。Intel 20Aがなかったことになってるのは悲しい。実際なくなったのだが……

Intel Foundryの拠点。演台で隠れているオレンジの説明は"Assembly/Test/Advanced Packaging"である。ドイツとポーランドは公式にPaused(作業中断)と示された

 まずIntel 10nmおよびIntel 7に関しては、イスラエルのFab 28が主力であるが、これに加えてアリゾナも一部需要に応じて製造していることが明らかにされた。

Intel 10nmおよびIntel 7の工場。ちなみにイスラエルのFab 38は施設建設が途中で中断されており、現状製造装置の搬入もない。写真にも写っていない

 ただアリゾナに関して言えば、画像手前の斜めのFab 22/32は2002/2007年に建設されたもので、ここはもともと22nm~10nmまでの製造を担っていたが、Intel 7まで扱っているかどうかは不明である。奥の右端のFab 42はもともと10nmに加えて5nm世代を予定していた(もうキャンセルされた模様)が、おそらくここがIntel 7の生産の主力と思われる。その左に位置するFab 52/Fab 62はIntel 18A以降の先端プロセス用である。

 次がIntel 4およびIntel 3だが、こちらはアイルランドで製造されることとが明言された。加えて、Intel 16もこのアイルランドでの製造であることが明言された。アイルランドのFab 34はIntel 4だけでキャパシティを埋めるのはどう考えても無理だと思っていたので、Intel 3の量産もここで行なわれることが明言されてすっきりした格好だ。

Intel 16はFab 24、Intel 4/3はFab 34と考えられる

 問題はIntel 4はともかくIntel 3の顧客が今のところまったくいないし、インテル自身もIntel 3はXeon 6向けのみに留まり、この先Intel 18Aに移行を考えていることを考えると、「この先なにを作るつもりなのか不明」というあたりだろうか。

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