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とんでもない動画生成AI「FramePack」にコミュニティ産“叡智”拡張「FramePack-eichi」――現場はまだ燃えている

2025年04月26日 16時30分更新

文● ムラリン/編集 ASCII

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 先週“VRAM 6GBでも回る妖刀”と話題をかっさらった動画生成AI「FramePack」に、早くも亜種がドロップ。通常なら1週間もすればどんなトピックスだろうとある程度は鎮火する足の早い生成AI界隈だが珍しく週を跨いで祭は続いている。

 なにせローカル環境で動かせる動画生成AIとあってユーザー諸兄の期待値も依然高止まり。叡智を求めるリビドーを結実させるべく、機能モリ盛りで有志がフォーク(オリジナルのリポジトリをコピーし、オリジナルとは別の派生リポジトリとして分派)したのが、その名も「FramePack-eichi」​。正式リリースではなく“趣味の差分版”だが、複数キーフレーム指定や尺プリセット拡充など実務的ツボを突いた機能充填が、オリジナル勢・Modder勢の両方を再点火させる事態となっている。

 ではいったい何がどう“叡智”仕様なのか? まずはマルチキーフレーム。静止画×数枚で複雑アニメを生成しやすく。スタートフレームに加え中間フレーム、エンドフレームの静止画を与えることでその間の動作をより精緻に推論可能に。加えて、1〜20秒の定尺モードをワンクリ​で設定できる柔軟な動画長。また、試験実装だがHunyuanVideo系LoRAを噛ませて作風替え​も可能。

 玄人向けだが “Keyframe地獄” を自動化できるため、「独自PVを低コストで量産できる」とネット在住のクリエイター陣をざわつかせ、Xトレンドの投稿数は海外勢含め数千規模。もちろんここでいうPVはプロモーションではなくプライベート。

 その熱量は本物で、Issue欄には「RTX4060でも1秒40分」「UI付きラッパー作った」などの報告が雪崩込み、原作者・イリヤスフィール氏の本家版もバグ修正の嵐で供給過多のバトンパス。結果、今週はeichi派生が実験場となり、FramePack本体へフィードバックが捗るという好循環が生まれている。

 さて、そうしたビッグウェーブの荒れ狂う動画生成AI界隈の大海原に、ウェーブの端波でちゃぷちゃぷしたいだけの我々オーディナリーはどう向き合っていくべきか? 本家で安定運用ならまずFramePackを素手で回して挙動を掴むことから始めたい。eichiで遊ぶなら、キーフレームやLoRA実験をして差分を比較。バグ報告とPRで燃料を投げる前に水も撒くという地均しが必要になるかも。

 “叡智版”はまだβ臭が濃いが、FramePackコミュニティの「自力で焼いて自力で治す」文化が可視化された点こそ今週の収穫。炎上を恐れて傍観するか、ガソリン持って踊り込むか――選ぶのはあなたの良心とSSDの焦土化も厭わぬ献身性にかかっている。

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