【創業100年企業の挑戦をAIで支援】80&Company、福島鰹の「だしAI」開発
株式会社80&Company
品質・スピード・コストを兼ね備えた“だし特化”AIチャットを「Dify」で実現

左:福島鰹代表取締役社長 福島武彦氏 右:80&Company エグゼクティブパートナー 吉野 崇史
株式会社80&Company(本社:京都府京都市左京区、代表取締役:堀池広樹・大川遼太朗)は、京都の老舗食品メーカー・福島鰹株式会社(本社:京都市中京区、代表取締役:福島武彦)の、だしに特化したAIチャットボット「だしAI」の開発を行いました。本ツールは2025年4月より、福島鰹が運営する公式ECサイト「だしナビ」上にて一般公開されています。
本プロジェクトでは、生成AIアプリケーション開発プラットフォーム「Dify」を活用し、福島鰹が100年以上にわたり培ってきた“だし”に関する専門知識をベースにしたチャットボットを短期間・低コストで構築しました。ユーザーが日常的に抱える「だしの選び方・使い方」に関する悩みに即時で応答し、最適な商品やレシピを提案するサービスです。

「だしAI」利用イメージ
「だしAI」開発のねらいと特徴

だしを家庭でとる文化が薄れつつある昨今、「だしは難しい」「選び方がわからない」といった声が増えています。一方で、業務用市場においても、安定した品質でだしを提供したいという飲食店からのニーズがあり、プロ・一般双方にとって“だし”に関する知識へのアクセスが求められていました。
福島鰹株式会社より「だしの知見をもっと気軽に届けられないか」とご相談をいただき、80&Companyが「だしAI」の開発を担当。誰でも手軽に“だしの専門家”に相談できる体験を提供することで、だし文化のハードルを下げ、日常の中に自然と取り入れてもらうことを目指しました。
「Dify」活用による、柔軟かつ高精度なAI構築

レシピを質問したイメージ
「だしAI」の開発にあたっては、生成AIアプリケーションの構築プラットフォーム「Dify」を活用しました。「Dify」は、柔軟なUI設計や外部データ連携、回答のチューニングが可能な点が特長で、ユーザー体験を損なうことなくスピーディーな構築を実現します。
福島鰹が100年以上にわたり蓄積してきた“だし”の知識やノウハウをベースに、FAQ・商品データ・レシピ情報などをもとに回答生成ロジックを設計。さらに、誤解を招く表現やユーザーが不安に感じるような出力を抑えるよう、チューニングも細かく行いました。
初期構築から実装までは短期間で進行し、開発コストも抑えつつ、ユーザーが安心して活用できるクオリティと信頼性を両立しています。
■福島鰹代表取締役社長 福島武彦氏コメント

福島鰹代表取締役社長 福島武彦氏
~だしをもっと身近なものに~
開発の経緯・目的
福島鰹は長年にわたり飲食店様など業務用商品を中心に販売してまいりましたが、コロナ期間中よりECでの一般消費者に向けた販売を強化し、2024年からよりだしに特化した自社ECサイト「だしナビ」の運営を開始しました。運営を進める中で当社の業務用製品が一般のお客様にもその品質を評価いただけることがわかり、現在は個人のお客様向けの商品開発や情報発信にも力を入れています。
しかしながら、だしを普段使わない人にとって、
だしは「難しそう」「どう使えばいいのかわからない」などの理由から敬遠されてしまいがちです。
そこで、だしに対するハードルを下げてもっと身近な存在にするため、だしについてより深く知っていただくためのツール『だしAI』を開発するに至りました。
開発で苦労した点
飲食店様などのプロフェッショナル向けに、いわば感覚的に説明していた内容を、個人のお客様にゼロから分かりやすく伝えるための言語化には予想以上の難しさがありました。サービス開始に向け、試行錯誤しながらまず一度テキストに落とし込みましたが、今後ユーザー様が入力された内容をもとに、説明方法やお届けする情報についてアップデートしていきたいと考えています。
理想とする使われ方
『だしAI』が当社の商品をご購入いただくきっかけとなればもちろん嬉しいですが、『だしAI』は当社製品の販売促進のみを目的としたツールではありません。当社の製品やECサイト上の情報と直接関係のない内容であっても、だし全般について汎用的な回答を得ることができます。
レシピ検索にも対応しているので、冷蔵庫の中にある材料を入力すればだしを使ったレシピをチャットボットがご提案することも可能。ぜひ『だしAI』を生活の中に取り入れていただけると嬉しいです。
今後のビジョン
『だしAI』によって世界中の人々に和食文化を広げるなど大きなビジョンも描いてはいますが、まずは目の前のお客様に喜んでいただくことが最優先だと考えています。『だしAI』をきっかけにだしを使う人が1人でも増えていくことが、結果として和食文化や食育への貢献にも繋がるものだと信じております。
■プロジェクト担当者コメント
80&Company エグゼクティブパートナー 吉野 崇史

80&Company エグゼクティブパートナー 吉野 崇史
世界中でChat GPTをはじめとするAIチャットサービスが普及して久しいですが、日本では先端テクノロジーを取り入れることに慎重な企業が依然として少なくありません。
そのような状況の中、福島社長は当初よりAIに強い関心をお持ちで、今回のプロジェクトについてとても前向きにお話を進めてくださり、その熱意のもと『だしAI』は実現しました。
福島鰹さんのような歴史ある企業に先端テクノロジーを率先して導入いただけたことは、他の企業にとって先行事例となり、非常に価値のあることと感じています。AIツールの敷居がもっと下がり、民主化されてより多くの方に活用されていくことを望んでいます。
『だしAI』の開発過程で福島鰹さんのオフィスや工場にも足を運び、商品を口にする機会もありましたが、だしの種類や深い美味しさについて私自身ほとんど知らなかったことを実感しました。
和食文化の根底とも言えるだしですが、日本人のだしに関するリテラシーは高いとは言えません。
『だしAI』が日本のだしリテラシー向上に貢献し、より多くの人々がだしを楽しめる世界に近づく一助となれば嬉しく思います。
























