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エレファンテック、銅膜厚1µm未満の「薄膜FPC」と銅膜厚100µm超の「厚膜FPC」の量産供給を開始

 エレファンテック株式会社は4月9日に、銅膜厚1μm未満の「薄膜フレキシブルプリント基板(以下、薄膜FPC)」および、銅膜厚100µm超の「厚膜フレキシブルプリント基板(以下、厚膜FPC)」の量産供給開始を発表した。同社独自のインクジェット印刷を用いたプリント基板「SustainaCircuits」の対応範囲を拡張する。

 エレファンテックでは「SustainaCircuits」の量産供給を2020年から行っている。従来、銅膜厚3~12μmのFPC製品を提供してきたが、市場からの多様な要求に応えるために対応銅膜厚範囲を大幅に拡大したという。

 今回の銅膜厚の対応範囲拡大にあたっては、材料とプロセスの両面における開発によって実現したとのこと。材料面では、インクジェットでの精密な描画性を維持しつつ、従来よりも高い密着強度を実現する新しいプライマーの開発に成功したという。また、このプライマーによって、配線銅膜厚での対応範囲拡大に加え、基材厚についても従来の25μmポリイミド基材以外に、12.5μmポリイミド基材への対応が可能となり、薄膜化に成功。すでに開発品として供給を開始しているという。

左:従来材料、右:新材料。新材料では、プライマー最表面に銅ナノ粒子が潜り込むように物理的なアンカー状態を形成することで、より高い密着強度を発現

 プロセス面では、特に厚膜FPCの実現において、同社のリジッド多層基板開発でも適用した独自の電気メッキ技術を応用。「SustainaCircuits」は必要な部分にのみ銅を積層するアディティブ法であるため、不要な銅箔をエッチングで除去する従来のサブトラクティブ法と比較し、銅膜厚が厚くなるほど、材料削減効果によるコストメリットが顕著になるという。一般的に流通量の多い18μm、35μmの銅膜厚への対応をはじめ、流通量が少なく材料が確保しづらい 35μmを超える厚みにも、任意の膜厚で柔軟に対応できるとのこと。現在、銅膜厚100μm 級まで量産供給が可能であり、開発品としては200μm級まで対応が可能だとしている。

銅膜厚200μm級(開発品)の配線断面写真

 この厚膜FPC技術は、自動車や産業機器などのパワーエレクトロニクス分野、ハーネスの置き換えや大電流が求められるバッテリー用途などにおいて、環境負荷低減とコストダウンの両立を実現するとしており、すでに従来の両面FPCからの切り替え需要を受けているという。

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