連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第178回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 3月29日~4月4日
現役大学生がα世代に抱える“プログラミング・コンプレックス”、ほか
2025年04月07日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回は(2025年3月29日~4月4日)、生成AIに対する世界の支出動向、国内で好調な予算管理システム市場、「プログラミング必修化世代」から漏れた現役大学生の意識、国内ウェアラブルデバイス市場のシェアについてのデータを紹介します。
[セキュリティ] 日本政府へのサイバー攻撃が激化、週平均で1万6000件超(チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ、3月31日)
[生成AI] 生成AIに対する2025年の世界支出は76%も増加(ガートナージャパン、4月2日)
・生成AI技術に対する世界の支出、2025年は約94.6兆円で前年比76.4%成長を予測
・支出の80%はサーバー、PC、スマートフォンなどのハードウェアに
・生成AIの能力に対する期待は低下する一方、
生成AI技術に対する世界の支出は2025年、前年比76.4%増の6440億ドル(約94兆6455億円)に達する見込みだ。その支出の80%を占めるのがハードウェア。ガートナーでは「2028年までに、ほぼすべての消費者向けデバイス市場をAI対応製品が占める見通し」としつつ、ハードウェアを購入する消費者は、必ずしもAI機能ばかりを追い求めているわけではないと警告している。また、PoC失敗率の高さ、現在の生成AI機能への不満から「生成AIのケイパビリティ(能力)に対する期待は低下している」とする一方で、ファウンデーションモデル(基盤モデル)のプロバイダは開発に多額を投じる“矛盾”も指摘している。
⇒ 企業がAI活用に取り組むプロジェクトについては、より確実な導入とビジネス価値を求めて、これまでの「自社開発」から徐々に「商用オフザシェルフ(COTS)型ソリューション」に比重を移す、という予測もしています。
[予算管理][SaaS] 国内の予算管理システム市場はSaaSが牽引して好調(アイ・ティ・アール、4月3日)
・予算管理システム市場、2023年度、2024年度とも20%程度の成長見込み
・「予算編成業務の効率化」「経営判断の迅速化」などの有用性への認識が進む
・SaaSが市場成長を牽引、2023~2028年の年平均成長率(CAGR)は24%
予算管理システムについて「予算編成業務の効率化」「経営判断の迅速化」といった効果への認識が広がり、国内市場は2023年度が前年度比19.4%増、2024年度も同20.4%増と好調な成長を見せている。提供形態別では、SaaSが2023~2028年のCAGRで24%増と市場を牽引する一方で、パッケージは0.8%の縮小。同システムはSaaSに置き換わっていくことが予想される。
⇒ 10年前、2014年度の国内市場規模は8億円程度に過ぎませんでした。ITRでは「アプリケーション分野でこのような成長を遂げている市場は少ない」とコメント。なお、市場拡大を牽引する顧客層としては「年商100億円未満の中小規模企業」とのこと。
[プログラミング] 文系大学生は「プログラミング必修化世代」がうらやましい?(国際NGO プラン・インターナショナル、4月2日)
・文系大学生の過半数(55.6%)が「小/中学生の頃にプログラミング/ITスキルを学んでいないことが就活やキャリアに影響」
・同じく過半数(53.9%)が、プログラミングなどのITスキルを「今からでも学びたい」
・一方で7割超(71.8%)が、ITスキル学習に対する「心理的ハードル」があるという
日本では2020年度から小学校で、2021年度から中学校でプログラミング教育が必修化された。現在の大学生は、義務教育課程でプログラミング学習が必修化されていなかった最後の世代にあたる。文系大学生への意識調査では、プログラミング必修化以後のα世代(Z世代に続く、2010年代初頭以後に生まれた世代)に対して「置いていかれているのではないかと不安」「うらやましい」という“プログラミング・コンプレックス”の感情を抱く人が多かった。
⇒ 「今からでもプログラミングを学びたい」という意欲があることは良いこと。学習サービスやクラウド環境などの登場で、昔よりもプログラミング学習のハードルは下がっています。ぜひチャレンジを!
[コンシューマー][ウェラブル] スマートウォッチなどのウェアラブル端末国内市場、じわり成長(IDC Japan、4月2日)
・国内ウェアラブルデバイス市場、2024年の出荷台数は前年比3.1%増
・スマートウオッチ/リストバンドは前年比13.5%増と高い伸び
・シェアはアップルが首位、ファーウェイやガーミンの成長が目立つ
国内ウェアラブルデバイス市場(イヤフォンなどのイヤーウェア、スマートウオッチ、リストバンド、スマートグラスなど)の2024年実績値。出荷台数は1241万台で前年比3.1%の増加。カテゴリ別ではスマートウオッチ/リストバンドが好調で、前年比13.5%増の出荷台数281万台となった。同カテゴリではアップルが42.8%のシェアを持つが、上位メーカーではファーウェイ(13.7%)、ガーミン(11.2%)の2社の成長が目立つ。
⇒ IDC Japanでは、2024年の国内VR/AR市場についても発表しています。こちらの出荷台数は、前年比14.8%減となる48.6万台でした。

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