究極のダイヤモンド半導体の実装を目指すスタートアップがグランプリ。初の知財ピッチが展開された第6回IP BASE AWARD
「第6回IP BASE AWARD」レポート
提供: IP BASE/特許庁
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ここからはスタートアップ支援者部門の受賞者を紹介する。
【スタートアップ支援者部門 グランプリ】
坂本 剛氏(QBキャピタル合同会社 代表パートナー)
スタートアップ支援者部門でグランプリに選ばれた坂本剛氏は、受賞の喜びとともに、QBキャピタル合同会社を設立した経緯と今後の取り組みを語った。
坂本氏は、2004年から九州大学知的財産本部で大学発のスタートアップ支援を開始。産学連携機構(TLO)九州代表取締役を経て、2015年にQBキャピタルを設立した。「2015年当時、九州には技術スタートアップの支援がほとんどなかった。地銀のVCが大学で研究開発された先進技術を理解することは難しく、起業しようとしても資金調達ができなかった」と坂本氏は振り返る。九州でも技術スタートアップが資金調達できる環境が必要と考えた坂本氏は、自ら大学発・産学連携に特化したファンドとしてQBキャピタルを設立し、以後、投資によって技術の事業化を支援してきた。
今回、九州地域におけるスタートアップ支援の先駆者としてイノベーション促進に大きく寄与した実績が評価され、グランプリ受賞に至った。
【スタートアップ支援者部門 グランプリ】
慶應義塾大学イノベーション推進本部
慶應義塾大学イノベーション推進本部は、慶應大学の研究成果を社会実装につなげるため、知財化支援や産学連携、スタートアップの創出・成長・事業化を支援する。特に、大学発のアイデアや研究成果を事業化することによって、社会課題の解決、持続的に社会に影響を与えるイノベーションエコシステムの活性化につなげることに取り組んでいる。教職員や学生を主体としたスタートアップの創業と成長を支援する「慶應スタートアップインキュベーションプログラム(KSIP)」の取り組みが評価され、グランプリに選ばれた。
授賞式に登壇した同学イノベーション推進本部 本部長・特任教授の新堂信昭氏は、KSIPの取り組みについて、「教員や研究者の法人設立から資金調達に伴走し、特許出願や顧客調査、市場調査、事業計画を支援するプログラム。さらに、客員起業家として外部のプロを探してきて事業化後の企業経営をサポートしている」と説明した。
【スタートアップ支援者部門 奨励賞】
TXアントレプレナーパートナーズ
スタートアップ支援者部門の奨励賞を受賞した一般社団法人TXアントレプレナーパートナーズは、国内先端技術の国内先端技術の事業化と普及を支援する団体。大学や研究機関、行政、民間企業との連携事業より、シード・アーリー期の技術系スタートアップを認定・サポートする独自の「J-Tech STARTUP事業」の社会的インパクトが評価された。
授賞式に登壇した副代表理事の尾崎典明氏は、同団体を設立した経緯について、「設立の2009年当時はリーマンショックの真っただ中で、スタートアップへの投資も冷えついていた。しかし、これから国や産業、雇用を支えていくのは技術系スタートアップ。ここをどうにか支援していきたいと有志を募ってスタートしたのがTXアントレプレナーパートナーズ」だと語った。今後の活動について、引き続きプレシード期、シード期のディープテック・スタートアップを支援し、多くの人が起業にチャレンジできる世の中にしていきたいという。
【スタートアップ支援者部門 奨励賞】
酒谷 誠一氏(サカタニ知財事務所 代表弁理士)
酒谷誠一氏は、IT、製造業、ディープテックのスタートアップを、事業戦略や競合優位性を踏まえた特許戦略の立案、発明の抽出、特許化に向けた開発事項の洗い出しから特許権の取得まで支援している。特許紛争解決支援の経験を活かして、侵害予防調査、特許紛争支援、ライセンス交渉など包括的にスタートアップの支援を行っている点が評価され、奨励賞に選ばれた。
受賞に際して酒谷氏は、「スタートアップにおける知財戦略は、特許の数を増やすことだけではない。限られたリソースの中で、特許を出願するのか秘匿するのか、ビジネスモデルと一体化した戦略を持つことが重要。戦略が資金調達の可能性を広げる。今後もスタートアップの皆様とともに歩んでいきたい」とコメントした。
【スタートアップ支援者部門 奨励賞】
南野 研人氏(弁理士法人レクシード・テック 弁理士)
南野研人氏は、バイオ分野を中心としたスタートアップの出願権利化、知財戦略の構築を支援している。今回、創業前支援に注力し、特に大学発スタートアップの知財戦略構築において、調査、契約、知財戦略、研究開発や事業への助言まで幅広く支援している点が評価され、奨励賞を受賞した。
授賞式に登壇した南野氏は、「バイオ・医薬の分野では、ひとつひとつの医薬の価値が大きい。経営者やメンバーが知財を重要視して利活用できると、経済的な価値になり社会の役に立つ。今後もバイオ分野で、知財の意識を高める活動を続けていきたい」と述べた。
【スタートアップ支援者部門 奨励賞】
渡邉 伸一氏(WNW特許事務所 代表パートナー弁理士)
渡邉伸一氏は、国内外の製薬企業、大学、スタートアップ企業を対象に、主にライフサイエンス分野における特許権の取得に携わる。今回、20年以上にわたるバイオベンチャー支援、特にライフサイエンス分野での貢献、大学を通じた創業前からの支援などの公的活動が総合的に評価され、奨励賞に輝いた。
授賞式で渡邉氏は、今後の自身の活動に言及。「知財に詳しい大学研究者の裾野を広げていきたい。この先はAIがより重要になる。医療とAIの融合分野で、大学研究者を発明段階から起業まで支援していきたい」と述べた。
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