IT専門調査会社IDCは、3月17日に日本と中国を含むアジア太平洋地域のPC市場に関する最新の調査結果を発表した。これによると、2024年の同地域における従来型PC市場(デスクトップ、ノートブック、ワークステーション)は2024年に1.9%減の9550万台となったが、2025年には4.1%の成長が見込まれているという。
日本市場の買い替えサイクルが成長を牽引
2024年は中国の経済回復の遅れが影響し、消費者の購買力が抑制される中、企業も予算削減や支出制限に直面した。一方で、日本やフィリピンでは教育分野や民間部門の強い需要に支えられ、前年比で2桁成長を記録した。
消費者向けPC市場は前年比2.6%減の4730万台となり、デスクトップの出荷台数は前年比6.0%減、ノートパソコンは1.5%減とそれぞれ落ち込んだ。中国以外にも、バングラデシュ、香港、日本、シンガポール、ベトナムなど複数の国で需要が低迷したことが、この減少に寄与している。
一方、商用向けPC市場は前年比1.3%減の4820万台となった。企業はIT支出にかなり慎重だが、パンデミック中に購入したデバイスの買い替え需要は年後半に回復し始めた。これは特に日本において顕著で、民間部門は前年比2桁の成長を記録。政府部門の出荷台数は、政府部門の堅調な需要と、2024年の商用PC市場を支えたいくつかの大規模な教育プロジェクトのおかげで、わずかに増加した。
IDCによれば、2025年にはパンデミック時代に購入されたPCの更新需要やWindows 11への移行が進むことで、日本を中心にアジア太平洋地域全体でPC出荷台数が9940万台に達すると予測されている。
IDCアジア太平洋担当シニアリサーチマネージャーのMaciek Gornicki氏は、「パンデミック時代の老朽化したPCの更新やWindows 10サポート終了によるアップグレード需要、AI対応PCへの関心増加など、多くの要因が市場成長を後押しする」と述べた。ただし、「AI対応PCの利点についてはまだ十分な理解が進んでおらず、採用は通常の更新サイクルに沿って徐々に進むだろう」と慎重な見方も示している。
