先端テックニュースまとめ読み from MITテクノロジーレビュー 第323回
新型人工葉が炭化水素合成に成功/ディープシークの衝撃再び? 話題の中国製AIエージェント
2025年03月17日 09時00分更新
世界最先端のテクノロジー情報をお届けするグローバルメディア「MITテクノロジーレビュー」から、ビジネスに役立つ注目のテック企業の最新動向、イノベーションにつながる最新の研究内容をピックアップして紹介します。
人工光合成が次段階へ、新型人工葉が炭化水素合成に成功
ケンブリッジ大学らの研究チームが開発した新型人工葉が、太陽エネルギーを利用してエチレンやエタンなどの炭化水素合成に成功した。研究チームは5〜10年以内の実用化を視野に入れている。
ディープシークの衝撃再び? 話題の中国製AIエージェントを試してみた
中国のAI企業がまた世界を驚かせた。大規模言語モデル「ディープシーク(DeepSeek)」に続き、汎用AIエージェント「マヌス(Manus)」が話題になっている。本誌はマヌスを試用し、その使い勝手や能力を確認してみた。
「クラウド」を超えて——次世代データセンターは宇宙を目指す
米国企業がデータストレージを搭載した月着陸船を打ち上げた。将来は消費電力や環境負荷が課題となる地球上のデータセンターに代わり、太陽エネルギーが豊富で冷却が容易な宇宙空間での運用を目指す。同様の動きはほかにもあるが、実現性はどうか。
アンデルセンの故郷、 ロボット産業の中心地に デンマーク小都市の成功物語
童話作家アンデルセンの生誕地であるデンマークの小さな都市オーデンセは現在、協働ロボットで世界的に知られるようになった。地元大学発のスタートアップの相次ぐ成功が、人材や投資を引き寄せている。
「想定外」の事態も想定、 実世界と99.7%一致する 自動運転シミュレーション
カナダの自動運転スタートアップ企業ワービ(Waabi)は、シミュレーション環境で自律運転トラックの安全性を実証しようとしている。同社のシミュレーションは、荷台から飛んできたマットレスなど通常予測できない危険も再現するという。
中国で「AI占い」ブーム、ディープシークが引き金に
不安と悲観が広がる中国社会で、若者たちが伝統的な占術とAIを融合させた新たな流行に熱中している。占いとの相性の良い国産大規模言語モデル「DeepSeek-R1」の登場もブームを牽引している。
勝又秀一:量子時代の安全を守る「耐量子計算機暗号」研究の開拓者
PQシールド(PQShield)の暗号研究者、勝又秀一は、耐量子計算機暗号を開発を進めると時に社会実装への道筋を構想し、量子コンピューター時代の情報セキュリティインフラを築こうとしている。
「画一」が損なう公平性、 AIのバイアス軽減で スタンフォード大が新指標
スタンフォード大学の研究チームが、AIモデルの公平性を評価する新しいベンチマークを開発した。従来の「すべてのグループを同一に扱う」アプローチでは、むしろ不公平な結果を生み出す可能性があるという。
MITテクノロジーレビューからのお知らせ
eムック新刊『「食」の大転換 未来に何を食べるか』
MITテクノロジーレビューの独自記事を旬のテーマ別に再構成し、PDFファイルとして定期的にお届けしている有料会員専用コンテンツ。新刊は『「食」の大転換』がテーマです。
生命維持の根源的欲求である「食」が、いま大きな転換点を迎えている。人類はこれまで、品種改良や化学肥料の活用など、さまざまな技術革新によって食糧増産を実現してきた。だが、世界人口の増加や気候変動、紛争による供給網の混乱など、食を取り巻く状況は厳しさを増している。効率性と生産性の追求は、植物の多様性の喪失や農薬耐性を持つ「スーパー雑草」の出現など、新たな課題も生み出してきた。伝統的な作物の再評価から最先端の生物工学まで、食とテクノロジーの関係を多角的に探り、未来に何を食べるのか考えてみたい。

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