連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第174回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 3月1日~3月7日
ID侵害とセキュリティの現状データ/「推しがいる」日本人は約4割/CDAOが考えるデータ活用の課題は、ほか
2025年03月10日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(2025年3月1日~3月7日)は、日本のERP市場が好調な背景、CDAO(データ/アナリティクス最高責任者)が考えるデータ活用の課題、ID(アイデンティティ)侵害とセキュリティの現状に関する調査データを紹介します。
[ERP] ERP市場は「法改正」と「DX」が追い風となり成長中(アイ・ティ・アール、3月6日)
・国内ERP市場の2023年度売上額は2027億円、前年度比18%弱成長
・2024年度はさらに伸びて18%超えの成長を予測
・パッケージは前年度比2.2%増、SaaSは同29.3%増
2023年度の国内ERP市場(売上額)は、前年度比で17.7%成長の2027億円と好調だった。さらに2024年度はこれを上回る18.8%の成長を予測している。好調の背景には、法改正対応(インボイス制度、改正電子帳簿保存法)とDX(レガシーERPシステムの更新増加)があるという。中期的にも市場全体では2桁成長が見込まれている。提供形態別で比較すると、2023~2028年度の年平均成長率(CAGR)は、SaaS型が20.6%増加、パッケージ型は2%の減少。
⇒ すでに「2025年の崖」の年になりましたが、多くの企業では引き続き基幹系システムの刷新に注力しているとのこと。案件の集中で懸念されていたパートナー(人材)不足問題も、案件が分散/平準化されたことである程度影響が緩和されているそうです。
[データアナリティクス] データ/アナリティクスの課題は「ビジネス成果への影響の測定」(ガートナージャパン、2月21日)
・データ/アナリティクス責任者の3割が「ビジネス成果への影響測定」ができていないと回答
・ビジネス成果の評価指標を定義/追跡/共有している組織は、わずか22%
・「データ/アナリティクス責任者の『計画』と『実行』に永続的なギャップ」と指摘
世界各国のCDAO(最高データ/アナリティクス責任者)など504人を対象に実施した調査。90%以上のCDAOが、データ/アナリティクス/AIがビジネスにもたらす価値や成果を優先事項として取り組んでいるが、実際のユースケースに対して「成果の定義や追跡ができている」組織は22%にとどまった。
⇒ 「データは現代の石油」と言われるようになって久しいですが、具体的にどれだけの富をもたらしているのかの評価は難しいようです。同社アナリストは「3分の1以上のCDAOが、運用モデルの確立と進化が職務上の責任であることを認識しておらず、計画と実行の間にギャップがある」とコメントしています。
[セキュリティ] アイデンティティ(ID)侵害で7割の企業がビジネス被害を経験(SailPoint テクノロジーズジャパン、2月27日)
・約7割の企業がID関連の侵害で「減収」「顧客離れ」などの業務影響を経験
・「強化すべきだった情報漏洩対策」として最多は「特権アクセスの監視」
・経営層はID管理システムの効果を“過大評価”しており注意が必要
企業のIT担当/経営者320人を対象とした「企業におけるセキュリティおよびアイデンティティ・ガバナンス実態調査2024」より。経営層では25%以上が、アイデンティティ(ID)管理システムによって、IDのプロビジョニング/デプロビジョニングが「100%実施されている」と認識しており、ほかの回答(課長や部長)と比べて際立って高いという。経営層がID管理ツールに対して“過大評価”し、楽観的に考えている可能性がうかがえると注意を促している。
⇒ この調査では、約9割の企業でマシンID(システムなどに割り当てられたID)が人間のそれを上回り、約半数では「人間の25倍以上」のマシンIDを保有していることもわかっています。マシンIDは、生成から終了までのライフサイクルが短い特性があるため、4割の企業が「追跡が困難」とするなど、人間のID管理よりも難しい実態も明らかにしています。
[生活]日本の15~69歳の約4割に「推し」がいる(ビデオリサーチ ひと研究所、3月5日)
・15~69歳の39%は「推しがいる/ある」、15~19歳では7割以上
・「日本のアイドル」「ミュージシャン」「アニメ/マンガのキャラ」が“三大ジャンル”
・10代では「海外のアイドル」、50~60代では「スポーツ選手/チーム」も人気
ビデオリサーチのシンクタンク、ひと研究所が15~69歳の男女1万3800人を対象に実施した「推し活・ファンエンゲージメント調査2025」より。好き/お気に入りの人物やモノで「応援したい」対象を「推し」と定義し、推しの有無やジャンルなどを聞いた。「推し」がいる/ある人は全体で38.9%と、昨年調査の35.7%から増加。“三大推しジャンル”はアイドル、音楽、アニメ/マンガだが、50~60代は「スポーツ選手・チーム」が他の世代よりも高い傾向にある。
⇒ (ここだけの話ですが)筆者の推しは、とあるITベンダーのエグゼクティブ(複数人)です。と言っても、彼らのグッズを売っているわけでもなく、せっせと取材に足を運ぶだけですが……。取材で撮影した写真を眺めていると、原稿も楽しく書けます(これも「推し活」でしょうか?)。

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