実践的な内容に大興奮「岐阜アントレプレナーシッププログラム」イベントレポート
提供: 岐阜アントレプレナーシッププログラム/岐阜県
社会で生き抜く力を養うための教育
地域産業の担い手の育成と経済をけん引する新しい産業やイノベーションを創出するために、アントレプレナーシップ教育の普及に力を入れている岐阜県。2023年に引き続き、2024年も岐阜県在住または在学の中学生・高校生等を対象にしたイベント「岐阜アントレプレナーシッププログラム(Gifu EP)」が開催された。
アントレプレナーシップ教育について簡潔に説明すると、文部科学省のウェブサイトには「アントレプレナーシップとは、様々な困難や変化に対し、与えられた環境のみならず自ら枠を超えて行動を起こし、新たな価値を生み出していく精神」とある。
(https://entrepreneurship-education.mext.go.jp/)
「アントレプレナーシップ=起業」のイメージが強いかもしれないが、起業家精神を育成するだけでなく、社会に出たときに必要とされる能力を身に付けるための教育とも言える。身近な課題を発見する力、課題解決のアイデアを考える創造性、他者と協力して物事を進めるコミュニケーション力など、どれも変化の激しい現代に求められる力だ。
昨年に比べて、今回は規模も内容もパワーアップして開催された。会場は3カ所に増えて、2024年11月10日に『高山市民文化会館』(岐阜県高山市)で、2024年12月14日に『INNOVATOR’S VILLAGE』(岐阜県岐阜市)で、2024年12月15日に『ヤマカまなびパーク多治見市学習館』(岐阜県多治見市)で行われた。
また、前回は半日でビジネスモデルを考案するプログラムだったが、今回は終日のプログラムに変更。グループで商品企画から商品の製造、疑似通貨を使った販売までを行う、より実践的な内容になった。ここでは『INNOVATOR’S VILLAGE』で行われた模様を中心に紹介していく。
実践的だからこそ学生たちも本気になる
プログラムでは「岐阜県で使える防災グッズ」をテーマに、チームに分かれて商品企画や開発などに取り組んでいった。大まかな工程は、「会社設立」に始まり、「調査」「計画」「資金集め」、そして「仕入れ」「製造」「広告」を経て、「販売」「計算」「振り返り」となる。
「会社設立」は、5〜6名のグループに分かれて、それぞれを「会社」と設定。まずはグループ内で役職(役割)を決めていった。続く「調査」では、他のグループの参加者や保護者、運営スタッフを相手に災害時のニーズを吸い上げていく。「計画」は商品開発で、グッズのコンセプトから形状、コスト、製造工程などについて話し合った。
特にユニークだったのが「資金集め」だ。商品の製造や販売に必要な疑似通貨を借りるため、各グループが事業計画書を作成し、実際に銀行で働いている行員を含む金融機関役の大人を相手に融資を依頼するもの。本物の銀行員や金融機関役の大人たちにプレゼンするということで、最初は緊張している学生たちもちらほら。しかし、次第にプレゼンに熱が入り、会場内は一気に活気付いていく。
「仕入れ」は疑似通貨をもとに材料を仕入れ、「製造」はサンプルとなる製品を制作。並行してPRするためのポスターも作っていった。「広告」は参加者の前で自分たちが考えた製品を発表。演劇仕立てで発表するグループもあり、学生たちの柔軟な発想に驚かされた。「販売」は参加者に購入してもらう工程で、実際の売上はどれくらいだったのか「計算」で確認。最後に「振り返り」でイベントは終了した。
全体を通して、通っている学校や年齢の差を超えて、活発に意見を交わす姿がとにかく印象的だった。プログラムが進むにつれて、最初に決めた役職(役割)が明確になっていく様子も姿も良かった。制作に励む製造マネージャーや、疑似通貨の管理を行う会計マネージャー、チームをまとめる社長など、それぞれが与えられた役割を全うしていた。学生たちは、価値のある商品やサービスを生み出すことの面白さ、チームで動くことの大切さ、消費者の共感を得ることの難しさなど、たった1日の間で多くのことを学んだに違いない。
岐阜会場の講師を務めたセルフウイング認定講師の高橋真寿美さんは「参加者のみなさんが前向きで素直。考える力も高くて、正直びっくりするくらいでした。考案された商品も素晴らしかったです。避難所の生活をより良くするためのおえかきトランプは、複数のアイデアが掛け合わされていて印象的でしたね。”地震で揺れない生活”というキャッチコピーも秀逸です」と振り返る。
「アントレプレナーシップ教育は、どこで働くにしても大切な力を得るための教育です。これは個人的な考えになりますが、自分の好きなことや楽しく感じることを把握していたほうがハッピーな人生を送ることができると思っています。こんな夢が見つかったとか、こんなポジションで働きたいなど、そういう気づきを得られるのがアントレプレナーシップ教育です。触れてみることで新しい発見が得られると思います」(高橋さん)
今回も盛況に終わったイベント。今後も岐阜県ではアントレプレナーシップ教育に力を入れていく予定だ。さまざまなイベントがこれからも開催されると思うので、少しでも興味があればぜひ参加してほしい。
プログラム提供・監修:株式会社セルフウイング


































