2024年7月にリリースされた株式会社SympaFitの「SympaFit for Athlete」は血糖値を測定し、「こころと体」のコンディションを可視化するアプリだ。昨今、体の状態を可視化する技術が広まりつつあるが、「SympaFit for Athlete」は「血糖値からメンタルを見る」という新しい角度での計測方法を用いており、注目を集めている。
スポーツ時だけでなく睡眠や食事中の状態も可視化
「SympaFit for Athlete」は、体に取り付けた小型センサーで間質液中の血糖値を測定し、そのデータを可視化するアプリだ。センサーを取りつけている間は常に測定が行われるため、スポーツを取り組んでいる間だけでなく、食事や睡眠中の状態から、1日を通してのコンディション状態も計測できるようになっている。
計測結果はグラフ化され、どのタイミングで血糖値が上下しているのかを見ることができるほか、データを自動解析し、理想的な身体状態に導くためのアドバイスも表示される。より詳しいレポートやアドバイスが必要な場合は、専門家のレポートや改善アドバイスが受けられるサービスも追加することが可能だ。
「SympaFit for Athlete」は現在iOS(iOS15以上)で対応しており、アプリ自体は無料でダウンロード可能。測定やアドバイスといった機能はアプリ内課金となっているが、月額1320円(税込)のサブスクリプション形式も用意されている。また専門家レポートは1回あたり4378円(税込)、センサーは別途用意する必要がある。
プロがメンタルコントロールで活用している技術
SympaFitの加治佐平代表によると、「実は血糖値から睡眠の質やストレス、アドレナリンの状態といった、心の状態を見ることができる」とのこと。
加治佐代表は大学野球の選手を経て、東京大学や東洋大学で血糖値の研究を行なっており、その研究を基に「血糖値からアスリートのメンタルを可視化できないか」と考えたという。
血糖値はメンタルの状態と密接なつながりがあることが分かっており、センサーを装着すればリアルタイムにデータ取得が可能で、なおかつ精度も非常に高いという特徴がある。
加治佐代表が考案した「血糖値から体の状態を見る」という仕組みを応用した測定サービス「SympaFit」は、大学スポーツやプロスポーツですでに活用されており、高い実績を残している。今回、その技術を一般でも利用してもらいたいということで、アプリのリリースに至ったとのこと。
スポーツ以外でも活用が見込まれている
今回リリースされた「SympaFit for Athlete」は、名前のとおりスポーツを楽しむ人のコンディションやメンタルコントロールをサポートするアプリだ。
しかし、睡眠の質を高める、メンタルが不安定になる要因をあぶりだせるなど、日常生活で役立てることも可能。食事や入浴といった普段行う行為を血糖値の側面から解析することで、QOLの改善にもつながるだろう。
加治佐代表によると、今後の展望として「睡眠」や「メンタルヘルス」といった部分にフォーカスして改善を促す取り組みも予定しているとのこと。
また、血糖値からは、女性ホルモンの変動も確認でき、特に排卵日前後は血糖値変動が異なることが分かっている。そのため、血糖値から妊活をサポートする取り組みも現在進めているとのことだ。
スポーツの質や成果を高めるだけでなく、QOLを高めたり、妊活のサポートにつながったりと、「SympaFit」は幅広いシーンでの活躍が期待されている。今後どのような形で利用されていくのか注目したい。