西日本へのネットワーク拡張では、“70%省電力”の富士通製液冷ネットワーク製品を初採用
欧州最大規模の法人向けネットワーク事業者になったColt、APACへの投資も拡大へ
2024年11月29日 12時35分更新
国内/アジア市場戦略:西日本へのネットワーク拡大スタート
日本国内およびアジア圏での市場戦略については、Colt日本法人 代表取締役 兼 アジア営業担当 VPの大江克哉氏が説明した。
まず日本国内における大きな動きとしては、昨年計画を発表した西日本地区(岡山、広島、福岡/北九州)へのネットワーク拡張がある。
大江氏によると、西日本のネットワークはすでに設計フェーズに入っており、2025年後半に岡山市内まで拡張、そこから1年ほどかけて順次、広島市内、福岡市内へとネットワークを延伸していく計画だという。大江氏は「(各地域で)キーとなるSIerの主要なデータセンターには、確実に接続していきたい」と語る。
日本を含むAPAC全体の成長戦略としては、「グローバル営業体制」「キャピタルマーケットのアップリフト」「SI成長モデル」という“三本の矢”を挙げた。
1つめの「グローバル営業体制」は、欧州や北米の顧客(多国籍企業)がアジア圏のネットワークを利用する、あるいは日本やアジアの顧客が欧州のネットワークを利用する際に、Coltが“ワンチーム”でサポートできる体制づくりを指している。
これを実現するために、欧州とAPACのそれぞれに専門のセールスチームを設けたという。このチームに属するスペシャリストが、顧客が展開する先のデリバリーチームと密に連携しながら、ワンストップでソリューションを提供していく。
大江氏は、Coltの既存顧客が展開する拠点数(欧州顧客のAPAC拠点数、APAC顧客のEMEA拠点数)を示し、ビジネス展開の可能性が大きいと説明した。特に、日本に本社を持つColtの既存顧客(436社)のEMEA拠点数(1万7000超)は非常に多く、「日本のお客様にColtの付加価値をお届けしたい」と意気込みを見せた。
2つめの「キャピタルマーケットアップリフト」は、各国の証券取引所を結ぶ低遅延/高速ネットワークを利用して提供してきた、金融相場データのリアルタイム配信サービスを拡充するというものだ。これまではアジア圏の取引所データを中心に配信してきたが、新たに米国のNYSE、NASDAQ、OPRA(上場オプション取引価格情報)など80以上の相場情報に拡大する。今年末からプロジェクトを開始し、来年前半にかけて整備を進めるとした。
3つめの「SI成長モデル」では、日本市場での拡大戦略で重要な役割を果たすSIerパートナーとの協業をさらに強化していく。上述した西日本ネットワーク拡張もその一部となるが、SIerデータセンターへのネットワーク接続を強化する。さらに、日本のSIerや顧客企業からのサービス内容に対する要望を、Colt本社にも理解してもらい実際のサービスに反映させる取り組みも進めている。
「今年の夏には、グローバルのオペレーション/エンジニアリング担当幹部を日本に招いて、日本のエンドユーザー様、SIer様の声を生で聞いてもらった。そのうえで、サービスを“日本基準”に合わせるための最優先項目を44項目ピックアップし、現在はアクションプランとしてその実現を進めている」(大江氏)