「東京ノーコードランド」をテーマにしたCybozu Days 2024基調講演
生成AIに一気に舵を切るサイボウズ AIもシュシュッと使えるkintoneへ
2024年11月11日 07時00分更新
エンタープライズ向けの性能ダッシュボードと外部システムのアプリ化
続いてエンタープライズ対応について説明したのは、サイボウズ エンタープライズプロモーション部長 事業戦略室 国内EP市場販売責任者 池田陽介氏だ。
昨年発表された大企業向けの全社情報プラットフォームライセンス「ワイドコース」は、今年7月に無事リリース。大規模なユーザーで重要なポータル強化やプロセス管理強化、アプリ分析(来年リリース予定)などの機能強化により、管理や統制がしやすくなっているほか、アプリやスペース数、APIリクエスト数も上限値を緩和。作成可能なアプリ数もスタンダードコースの3倍となる3000、APIリクエスト数も10倍の10万リクエスト/日にパワーアップしている。
池田氏はワイドコースのポータルを披露。全社向けのお知らせや締め切りを通知したり、アプリやスペースをカテゴリ分けして表示する機能も用意されている。kintone以外のアプリのリンクを貼り、社内アプリケーションのポータルとして利用することも可能だ。プロセス管理では、管理社側だけでなく、ユーザー側もチャート化。「課長承認で止まっている」といったステータスも確認できる。
来年リリース予定のアプリ分析では、社内で利用できるアプリを統合的に分析。「管理者が一人しかいない」「よくアプリを作っている部署を抽出する」「使っていないアプリを調べる」といった情報をチェックしたり、構成情報を元に「どのアプリがどのアプリを参照しているのか」といったアプリの関連付けを見ることができる。
エンタープライズ向けの取り組みとして新たに披露されたのは「性能ダッシュボード」。これは特定アプリへのアクセス集中やアプリの構造面での課題で引き起こされる性能面での原因を抽出できるkintone版のAPM(Application Performance Manager)。同時接続数やリクエスト数、応答数を把握したり、ツリーマップ形式でアクセスが集中しているアプリを検出できる。性能改善のヒントも表示され、設定変更による性能劣化の解消につなげることが可能になる。
また、研究開発として昨年発表された外部システムのアプリ化も進めている。こちらは他サービスのデータをAPI経由でkintoneに表示するサービス。今回はGoogle BigQueryやAmazon RDS(MySQL)を例にしたデモも披露された。kintoneアプリの作成画面に新たに追加された「外部システムとの作成」をクリックし、クレデンシャル情報登録やマッピング設定を行なうと、接続先のデータが表示される。kintone自体には外部システムのデータを保持せず、あくまで参照しているだけ。「外部のシステムを意識せず、kintoneのスキルだけあれば、データを活用できる。まさにデータの民主化を実現する機能」と池田氏はアピールする。
基幹システムの周りにkintoneあり 海外拠点での利用事例も
続いてサイボウズ 営業本部 エンタープライズ営業部 部長の松森知里氏がkintoneビジネスの概況について説明した。まず披露したのが、エンタープライズ企業の活用動向。「サイボウズと言えば、中小企業向けグループウェアというイメージが強くないでしょうか?」と語る松森氏。しかし、実際は国内のエンタープライズ企業4000社のうち、32%がkintoneを導入しているという。
導入を検討している部署は、3割がDX・IT部門、7割が業務部門。用途に関しては、SFA/CRM、ワークフローに関しては中小企業と同じだが、全社の情報プラットフォームの利用が多いのが特徴。「複数部署でkintoneを使っていただいている状態。基幹システムの周りにkintoneがあり、アプリが増えていく状況」と松森氏が語る。
しかし、ノーコードで作られたアプリが増えると、管理も大変になる。そのときに活用したいのが、kintoneのエコシステムだという。「今年一年、特にエンタープライズ向けにエコシステムの内容を拡充してきている」と松森氏は語る。前述したワイドコースに加え、新設されたエンタープライズパートナー6社が導入や運用の支援に当るとのこと。また、エンタープライズ向けのコミュニティも「kintone Enterprise Circle」のほか、「Enterprise User Meetup」などが立ち上がっているという。
具体的な事例としては、三菱重工業が海外拠点を含め3000名でkintoneを活用している。「三菱重工業さんであっても、海外拠点のバックオフィス業務は一部紙が残っており、これが課題になっていた」(松森氏)とのことで、シンプルな社内決済アプリをkintoneで作成した。DX推進部門と事業部が連携して進めていたこのDXへの取り組みはグローバルに及び、スモールスタートで作ってきたkintoneアプリは、2018年の8倍にまで拡大。そのうち約1/4が海外で使われているという。「エンタープライズ企業のグローバル展開。ぜひkintoneにお任せいただければと思います」と松森氏はアピールする。
中小・中堅企業ユーザーの動向についても説明された。エンタープライズが増えたとは言え、毎月650の新規ドメインの9割はやはり中小企業で、月間のトライアルは3994件に上るという。kintoneを中心としたエコシステムも拡大し、kintoneベースで開発された業種・業務向けのパッケージ製品でセミオーダー型ソリューションも導入が拡大している。
基調講演の最後は青野氏が再度登壇し、120以上のパートナーによる展示ブースを強くアピール。「東京ノーコードランドを楽しんでほしい」と語って、基調講演を終えた。