「東京ノーコードランド」をテーマにしたCybozu Days 2024基調講演
生成AIに一気に舵を切るサイボウズ AIもシュシュッと使えるkintoneへ
2024年11月11日 07時00分更新
2024年11月7日・8日、サイボウズは年次の大型イベント「Cybozu Days 2024」を幕張メッセで開催した。初日の基調講演では、代表取締役社長の青野慶久氏はじめ、サイボウズのメンバーが総出でプロダクトや施策の最新動向、ユーザー事例などについて説明。昨年は抑え気味だった生成AIへの対応を今年は一気に進め、パートナーとともに市場を拡大していく方向性を示した。
独自の世界観を体験できるCybozu Days 今年は「東京ノーコードランド」
広大な幕張メッセの会場をフル活用し、テーマパークさながらの独自の世界観を表現するCybozu Days。今年のテーマは「東京ノーコードランド」で、会場は例年にもましてカラフル。巨大スクリーンを4面に配した半円型の大型ステージで基調講演はスタートした。
登壇したサイボウズ 代表取締役社長の青野慶久氏は、サイボウズの最新動向を共有する。まずは部長に扮する豊川悦司さんがシュシュッとアプリを作るテレビCMを紹介。また、10年前に大きな反響を呼んだショート動画「大丈夫」の続編として、西田尚美さんが女性管理職の苦悩とやりがいを表現した「大丈夫2」も公開した。
続いて最新のビジネス概況も紹介。同社の基幹プロダクトに育ったkintoneの導入社数は3万7000社を突破した。サイボウズOfficeも8万社、Garoonも7000社、メールワイズも1万5000社と堅調に推移している。
アワードも好調で、働きやすさ・働きがいを両立したプラチナ企業のランキングで、上場企業2300社でサイボウズがトップに輝いた。そして「もっとうれしかったランキング」として青野氏が挙げたのは、日経コンピュータの顧客満足度調査(業務効率化・内製支援サービス、グループウェア・ビジネスチャット)とパートナー満足度調査(業務効率化・内製支援サービス、クラウド情報系)の2部門で1位になったこと。「kintoneも、サイボウズOfficeも、Garoonも、お客さまにとって、パートナーさまにとって、とても満足度が高いということで大変うれしい。でも、正直いってまだまだです。もっともっといい製品ができるはず」と青野氏は語る。
オフィシャルパートナーは500社、レジスタードパートナーは750社を超え、今回のCybozu Daysでは過去最大の126社がブースをかまえる。連携サービスも435に増え、昨年発表したセミオーダー型のサービスも25となった。「まだまだエコシステムを拡大していきたい。チームワークあふれる社会に作るために、社員一同、これからも全力で仕事に取り組んで参りますので、引き続きサイボウズの応援をよろしくお願いします」と語り、プロダクトの紹介に移った。
アプリの裏には業務がある 設定変更の裏には業務の改善がある
続いて登壇したサイボウズ 執行役員 開発本部長の佐藤鉄平氏は、kintoneの最新動向について説明した。
kintoneは毎月650社が新たに導入。「なかなか想像できないかもしれないが、身近なところではコンビニ大手のセブンイレブンさんとファミリーマートさんの店舗数を足すと、だいたい3万7000店舗くらい。なかなか拡がってきたのではないか」(佐藤氏)という規模だという。
3万7000社の契約企業が作るアプリは毎月10万に及ぶ。これは紙やExcelで行なわれていた業務が毎月10万もkintoneに置き換えられていることを意味するという。また、アプリの設定変更回数は毎月180万回。「アプリの裏には業務がある。アプリの設定変更の裏には業務の改善があると思います。優先順位を変えるためにフィールドを追加したり、プロセスに新しいスタックを追加する。kintoneはそういった環境や要求の変化に柔軟にスピーディに対応できる。これがkintoneのもっとも特徴的な価値」と佐藤氏はアピールする。
不具合の改修や新機能などkintoneのリリースは、1年で120回程度に増えてきた。これは2020年に比べると、およそ3倍だという。こうしたアップデートで反響が大きかったのは、プロセス管理のフロー表示、計算式の自動補完、フィールドの絞り込み、レコード一覧画面のインライン編集の改善などで、ユーザーが業務改善に専念できるよう工夫しているとのこと。また、大きな企業で重要な管理や拡張性についても改善を続け、プラグインの利用許可をアプリごとに設定できるようになっていたり、APIも16個追加。その他、モバイルではホーム画面へのアプリショートカットの追加機能(Android版)が図られ、コントラストやデザインの統一などアクセシビリティも向上した。
今後の進化について語る佐藤氏は、まずkintoneによるDXの特徴として、「現場主体」を挙げる。業務に詳しい現場部門とITに詳しいIT部門でギャップが生じ、DXが進まないという課題に対して、kintoneでは現場主体でアプリ作成や改善が行なえる。これを実現するのが、「ノーコード&エコシステム」「柔軟でスピーディな変更」というkintoneの2つの特徴だ。「事業部門が主体的に業務の改善に取り組んでいくことができる。ノーコードでシステムを作れるが、頼れるエコシステムもある」と佐藤氏は語る。
サイボウズNEXTで進めるkintoneとグループウェアとの融合
こうした現場主体の業務改善を加速すべく、昨年発表されたのが「サイボウズNEXT」という新しいコンセプトだ。「より多様なお客さまが、より多様な情報を扱える、ワンプラットフォーム」と佐藤氏は説明。これを実現するための方向性として、佐藤氏がまず挙げたのは「グループウェア領域との融合」だ。
グループウェア領域との融合とはなにを指すのか。佐藤氏は、「kintoneで案件を管理する場合でも、そこからこぼれてしまう情報がある」と指摘する。たとえば、案件に関するメール、訪問予定などを登録したスケジュール、資料などのファイルなど。これら従来グループウェアがカバーしていた領域をkintoneに取り込んでいくという。
1つ目に挙げたのは、10月に正式リリースされたkintoneの「メール共有オプション」。これは個人のメールボックスに入っていたメールをチームで共有する機能で、従来メールワイズが補っていた機能をkintoneに取り組んだものだと言える。メール対応状況を見える化し、タスクや案件管理を行なっているkintoneアプリにメールの履歴やメールの情報を登録できる。
2つ目はkintoneとサイボウズOfficeでもっとも使われているスケジュールとの連携。kintoen案件管理アプリの予定をサイボウズOfficeに登録することができ、kintoneからはリンクとして見える。こちらは2025年1月にリリースする予定となっている。
3つ目はkintoneグループウェアプラグイン(リリース時期は未定)。こちらは文字通り、シンプルなグループウェア機能をkintoneで実現するもので、全社で行なう汎用的な情報共有をkintoneで実現する。たとえば健康診断のお知らせを掲示板に登録しておくと、未読のユーザーのみにリマインドすることもできる。PDFの共有・閲覧や簡易ワークフローなどの機能も提供予定。「グループウェア領域とkintoneをシームレスに融合していくことで、より業務を効率的に回せるようにしたい」と佐藤氏は語る。