ソフトバンクは、2025年3月期第2四半期決算説明会を開催。その中で、ドコモ「ahamo」に対抗する形で、LINEMO/Y!mobileで料金を変えずに通信量を増量した件について問われ、「行き過ぎた値下げは疑問に感じている」としつつも、「売られた喧嘩は買う主義」と同社の宮川潤一社長がコメントした。
■ドコモがキッカケを作った中容量帯の実質値下げ
■ソフトバンクは1ヵ月ほど遅れて対抗した
ここに来て、中容量帯の料金プランの値下げが相次いでいるが、そのキッカケとなったのが、9月12日のNTTドコモによる突然の発表。オンライン専用プラン「ahamo」で、10月からは月額料金は2970円で買えずに月間の通信量を30GBに増量した。
これに対して、UQ mobileが「コミコミプラン」を一部変更して、こちらも料金はそのまま(月3278円)、実質月33GBが利用できるように。また、オンライン専用プラン「povo2.0」でも年間支払いでオトクなトッピングを用意している。
一方でソフトバンクは、しばらく動きが見られなかったが、10月25日になって、LINEMO「ベストプランV」において、ahamo同様となる月2970円のまま、実質月30GBへの増量を11月に開始すると発表している。
■物価に応じた値上げができる状況が理想だが、対抗する
■自社内でのアップグレードをしてもらう方向にも力を入れる
この若干遅れたようにも見える動きについて、質疑応答でのソフトバンク代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一氏は、「動くか動かないか考えていたのだが、耐えきれなくなって動いた」とする。
昨今の物価上昇が続く状況下でも通信料は値下がりを続けているとし、「行き過ぎた値下げは本当にいいのかなと疑問に感じている」「中長期的には物価に応じた値上げくらいはできるマーケットに落ち着いてくれるといいのだが」としつつも、「対抗せざるをえない」とのことで、「売られた喧嘩は買う主義」と、料金を変えずに増量という形での実質的な値下げに踏み切った。
さらに中長期的には、ユーザーのキャリア間流動性がさらに低下する見通しをしており、「純増だけにこだわるわけではない」として新規ユーザー獲得にのみコストをかけるのではなく、Y!mobile→SoftBankでのユーザー移行に力を入れるなど(具体例の1つとして「ペイトク」のさらなる魅力アップを検討しているとのこと)、社内での取り組みを変えていくとした。
■第三者機関によるネットワーク品質の評価でKDDIに抜かれる
■3G停波が延期したのが理由もこれからNo.1奪還を狙う
また、ネットワーク品質面でも質問があった。第三者機関のOpensiginalのレポートでは、今年に入り、KDDIが18部門中13部門でナンバーワンを獲得。KDDI側も「つながる体感No.1」とアピールしている。
この点について宮川社長は、能登半島地震の影響で、3Gの停波が当初予定の今年1月から4月に、さらに一部地域では7月へと延期することになり、ネットワーク構成の変更に予定外の時間がかかったことが、技術陣から理由として上がってきたことを紹介した。
この課題はすでにクリアになっていることもあり、今年中にも巻き返しを図るとNo.1奪還への意気込みを語った。