エアロネクスト、モンゴル科学技術大学と4D GRAVITY(R)技術に基づく新型ドローン機体の空力に関する共同研究を開始
株式会社エアロネクスト
MOU締結式にてモンゴル科学技術大学 ダンジフー・ツォルモンバータル研究担当副学長(写真向かって左から3番目)、エアロネクスト海外事業マネージャー 川ノ上和文(右から2番目)(JICA緒方貞子平和開発研究所)
エアロネクストのエンジニアがモンゴル科学技術大学機械工学部にあるトゥムルオチル・エルデネバト先生の研究室に視察訪問した時の様子(2024年5月)
株式会社エアロネクスト(東京都渋谷区、代表取締役CEO:田路 圭輔、以下 エアロネクスト)は、モンゴル科学技術大学(モンゴル国ウランバートル市 学長:Tumurpurev NAMNAN、英名:Mongolian University of Science and Technology、以下 モンゴル科技大)と「M-JEED: Higher Engineering Education Development Project*1」(以下、M-JEED)に基づく新型ドローン機体の空力(空気力学)の解析・評価についての共同研究に関するMOUを締結したことをお知らせいたします。MOUに基づき、今後、1年間に渡り共同で、エアロネクストの新型ドローン機体の揚力の最適化、抗力の低減、全体的な空力効率の確保等を焦点に詳細な空力学的な解析、研究活動を行い、また、持続可能な社会の更なる実現に向けた工学人材育成のための効果的なパートナーシップを構築いたします。
なお、11月6日に開催された「モンゴル-日本 共同研究・産学連携セミナー2024」の会場であるJICA緒方貞子平和開発研究所にて本MOUの締結式と発表が行われました。
エアロネクストは、独自の機体構造設計技術4D GRAVITY(R)︎*2を搭載した次世代ドローンの研究開発や新たな特許技術を自社で開発しています。また、社外の連携パートナーと共に機体や関連製品の共同開発や開発受託も行っています。
コアテクノロジーの機体構造設計技術4D GRAVITY(R)︎は、重力、空力特性を最適化することで、安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能や物流専用ドローンの運搬性能を向上させる技術で、産業用ドローンに標準搭載するため強固な特許ポートフォリオを構成し、4D GRAVITY(R)︎ライセンスに基づくパートナーシップ型のプラットフォームビジネスをグローバルに推進しています。
モンゴル科学技術大学はモンゴル国の国立大学で、1959年にモンゴルで初めて土木工学と工業経済分野における人材育成を担って以来、今年度で65周年を迎えたエンジニア人材創出において由緒ある大学です。現在、12学部を有し、ウランバートル市、エルデネト市と南ゴビ県に3校の日本式の高専も付属にあリます。中でも、機械工学部の卒業生は、交通及び航空業界の就労者の8割強を占めるなど、モンゴルの産業、道路・運輸分野をリードする工学部です。また、UAVやドローン技術開発においては、ウィング・プロペラ、そしてエンジンの研究を、地上走行試験、風洞実験により実施しており、M-JEED事業の共同研究プログラムの一環で長岡技術科学大学と協力し、最新のCFD分析を行っています。
【共同研究の背景・目的】
モンゴルにおいてエアロネクストは、JICA「中小企業・SDGsビジネス支援事業」に2022年度、2023年度連続で採択され、「モンゴル国ドローン活用による医療品の配送網構築のためのビジネス化実証事業」に取り組んでいます。その活動において、昨年11月には4D GRAVITY(R)︎搭載の物流専用ドローンAirTruck*3を使用して、国立輸血センター、モンゴル国立医科大学付属モンゴル日本病院間で自動航行による飛行を実施し、成功させました。ウランバートル市は標高1,300mという位置にあり、また当日は極寒の外気温-15℃という過酷な環境下、日本でいうところの「レベル4(有人地帯における補助者なし目視外飛行)」に該当する第三者上空における自動航行による飛行の成功は、機体性能面においても大きな成果となりました。
その後、現地のパートナーであるNewcom Groupとエアロネクストは現地での運航体制の構築の準備を重ね、Newcom GroupのMSDD(Mongolia Smart Drone Delivery) は、本年6月にモンゴル国民間航空庁(通称MCAA)からモンゴル国初となるドローンの商用飛行ライセンスを取得し、8月から、国立輸血センターから市内の3つの病院(日本モンゴル病院、アムガラン病院、第一母子センター)への血液のドローン配送の実運用がスタートしています。定期的な運用と緊急対応で輸血用の血液のドローン配送を実施しており、8月から9月末までですでに50フライトを実施し、計178名の患者がドローン配送された血液で輸血を受けています。
継続的な事業推進のためにも、モンゴルの気候・気象条件(寒冷気温、標高、風等)で安全に運用できる機体開発は不可欠で、今回の共同開発となりました。
そのような背景を受け、「ドローンの新機体についての空力(空気力学)の解析・評価」に関する総合的な研究活動と、持続可能な社会の更なる実現に向けた工学人材育成のための効果的なパートナーシップを構築してまいります。
今後、2者は協力して、主に以下の研究に取り組みます。
【共同研究の概要】
機体構造設計技術4D GRAVITY(R)︎技術に基づく新型ドローン機体についての空力現象の解析・評価
・大学の風洞設備を使用した実験
・連携大学でのCFDシミュレーション分析
・モンゴルの自然環境への応用可能性の考察
エアロネクストは、モンゴルの気候・気象条件で安全に運用できる機体開発に役立つ研究を共同で行うことで、今後もドローン配送事業の構築によるモンゴルの渋滞や環境問題等の社会課題解決に貢献してまいります。
以上
資料
*1 M-JEED: Higher Engineering Education Development Project
モンゴルにおける工学系教育と研究能力の国際水準化、及び工学系教育環境の質向上を図ることを目的とした工学系高等教育支援事業。「モンゴル・日本戦略的パートナーシップ」中期行動計画に基づき、日本国政府の有償資金協力により2014年に開始された有償資金協力事業で「M-JEED 1000人エンジニアプロジェクト」としても知られ、モンゴルの主要3大学(モンゴル国立大学・モンゴル科学技術大学・モンゴル生命科学大学)の研究能力の強化、モンゴルの産業界で必要としている工学分野での日本留学支援、モンゴル科学技術大学の工学系学部カリキュラムの改善等が行われ、プロジェクト下で多くの共同研究プログラムが進められている。
*2 機体構造設計技術4D GRAVITY(R)
飛行中の姿勢、状態、動作によらないモーターの回転数の均一化や機体の形状・構造に基づく揚力・抗力・機体重心のコントロールなどにより空力特性を最適化することで、安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能や物流専用ドローンの運搬性能を向上させるエアロネクストが開発した機体構造設計技術。エアロネクストは、この技術を特許化し4D GRAVITY(R)特許ポートフォリオとして管理している。4D GRAVITY(R)による基本性能の向上により産業用ドローンの新たな市場、用途での利活用の可能性も広がる。
*3 物流専用ドローン AirTruck
エアロネクストがACSLと共同開発した日本発の量産型物流専用ドローン。エアロネクスト独自の機体構造設計技術4D GRAVITY(R)により安定飛行を実現。荷物を機体の理想重心付近に最適配置し、荷物水平と上入れ下置きの機構で、物流に最適なユーザビリティ、一方向前進特化・長距離飛行に必要な空力特性を備えた物流用途に特化し開発した「より速く より遠く より安定した」物流専用機。日本各地の実装地域や実証実験で飛行し日本でトップクラスの飛行実績をもつ。
【株式会社エアロネクストとは】
IP経営を実践する次世代ドローンの研究開発型テクノロジースタートアップ、エアロネクストは、空が社会インフラとなり、経済化されて、ドローンで社会課題を解決する世界を生み出すために、テクノロジーで空を設計する会社です。コアテクノロジーは、重力、空力特性を最適化することで、安定性・効率性・機動性といった産業用ドローンの基本性能や物流専用ドローンの運搬性能を向上させる、独自の構造設計技術4D GRAVITY(R)︎。この4D GRAVITY(R)︎を産業用ドローンに標準搭載するため強固な特許ポートフォリオを構成し、4D GRAVITY(R)︎ライセンスに基づくパートナーシップ型のプラットフォームビジネスをグローバルに推進しています。また、ドローンを活用した新スマート物流SkyHub(R)の実現のために戦略子会社、株式会社NEXT DELIVERYを設立し、ドローン配送サービスの社会実装にも主体的に取り組んでいます。
*会社概要は https://aeronext.co.jp/about/company/をご覧下さい。
*エアロネクストおよびエアロネクストのロゴおよび、「4D GRAVITY(R)」は、株式会社エアロネクストの商標です。その他のすべての商標は、それぞれの所有者の商標または登録商標です。