Hot Chipsで公開された新プロセッサーの説明の途中であるが、10月10日にAMDがAdvancing AI 2024というイベントを開催したので、今回はAMD CPUのアップデートをお伝えしよう。
イベントのレポートはRyzen AI Pro 300とEPYC 9005としてすでに既載されている。このうちRyzen AI Pro 300シリーズに関しては、今年のCOMPUTEXで発表されたRyzen AI 300シリーズのビジネス向けのPro版というだけで、仕様的にもすでに出荷中のRyzen AI 300シリーズと同じ(Pro機能の有無が異なるだけ)なのであまり説明の必要がないのだが、EPYCについてはけっこう細かい情報が公開されたので、こちらを中心に説明したい。
第5世代EPYCは16CCDが物理的限界
まずラインナップについてだ。連載776回で書いたように、TSMC N3を利用するのはZen 5cコアの場合のみで、Zen 5コアの方はTSMC N4となる。ここまでは想定通りであったが、IoDが予想通り大きく変更され、しかしながら筆者が想定していたMRDIMMのサポートは明示されなかった。その代わりだが、最大16個までCCDを接続できるようになった。
下の画像は少しわかりにくいが、中央の上半分がZen 5ベースのEPYC、下半分がZen 5cベースのEPYCである。
Zen 5ベースの場合、最大16個のCCDを接続可能で、この場合は128コア/256スレッドでの動作が可能になる。Zen 5cの場合は最大12CCDで、こちらでは192コア/384スレッドという計算になる。別にZen 5cではIoDに12CCD以上接続できないという話ではなく、物理的にSP5のパッケージに16個のZen 5cのCCDが載らないという制約から来るものと思われる。
これはZen 5のCCDの方も同じで、16CCDが上限であり、これ以上はパッケージを大きくする必要がありそうだ。
そうした話はともかくとして、IoDのインフィニティ・ファブリックのI/F(GMI3)はZen 4世代の12chからZen 5世代では16chに増やされた。もうこの時点でIoDは新しくなったことが明白である。
16 CCD/12 CCDのEPYCに関してはCCDとIoDが1本のGMI3で接続される形になるが、8CCDのEPYCに関しては2本のGMI3でCCDとIoDが接続される。この方式はGenoa世代でも採用されていたが、今回GMI3が合計で16ch分に増やされたことで、8 CCD以下の構成のEPYCはすべてこのDual GMI3(GMI3-Wide)構成での接続が可能になった。
SKUテーブルで言うと、64コアのEPYC 9575F以下の18製品がこれに該当する(ちなみにZen 5ベースのEPYCは全部で22製品なので、大半がGMI3-Wideの接続が可能になったことになる)。
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