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Agentforceで目指す、人とAIが融合した新たな顧客体験とは

チャットボットとの違いは? 自ら顧客対応する“AIエージェント”、セールスフォースが国内投入

2024年10月21日 09時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 セールスフォース・ジャパンは、2024年10月30日より、自律型AIエージェント(エージェンティックAI)のスイート製品である「Agentforce」を日本市場にて提供開始する。第1弾として投入されるのが、カスタマーサービス領域の「Agentforce Service Agent」だ。

 同社のCRM上で提供するこのAIエージェントは、自律的に自然な応対をする“進化したチャットボット”であり、人手不足を解消して、顧客満足度を向上させるという。

 セールスフォース・ジャパンの専務執行役員 製品統括本部 統括本部長の三戸篤氏は、第1波の予測型、第2波の対話型アシスタントに続く、AIの第3波が自律型AIエージェントであると説明。「今までの“AIを使う”という世界から、今後は、“AIを雇う、採用する”という世界に変わっていくのではないか。日本のお客様に、この新しい世界を届けたい」と強調した。

セールスフォース・ジャパン 専務執行役員 製品統括本部 統括本部長 三戸篤氏

Agentforceで目指す「人×AIエージェント×データ×CRM」の世界

 これまでの生成AI活用と自律型AIエージェントの違いは、ユースケースが個人から組織に広がることだという。

 従来は「この見込み客の情報をサマリして教えて」など、生成AIに依頼をして、個人の仕事を効率化していた。一方のAIエージェントは、「見込み客リストから商談を創出しておきますね」といったように、特定の業務領域で自律的に働いてくれる。

 製品統括本部 プロダクトマネジメント&マーケティング本部のシニアマネージャーである前野秀彰氏は、「これはすなわち、組織の労働力が強化されるということ。個人の生産性を向上させる従来の生成AI活用と位置付けが異なる」と説明する。

セールスフォース・ジャパン 製品統括本部 プロダクトマネジメント&マーケティング本部 シニアマネージャー 前野秀彰氏

 しかし、自律型AIエージェントでも「人間のすべての仕事を、完全に代行することはできない」(前野氏)という。そこで、同社がAIエージェントで掲げるコンセプトが「人×AIエージェント×データ×CRM」だ。

 同社のCustomer 360の各CRM上で、人とAIエージェントをつなぎ、さらにアクションに必要なデータと連携させる。特定領域でAIエージェントに働いてもらいつつ、CRMを介してスムーズに人にエスカレーションしたり、連携をとれるようにする方向性だ。

 このようなコンセプトで、順次日本でも展開される「Agentforce」は、同社のプラットフォームの機能をフル活用することで機能する。Customer 360のプロファイルで、どのような役割を持つエージェントなのかが定義され、ビジネスの情報が集約されたData Cloudからデータを取得して、プロンプトやフロー、Apex、MuleSoftといった仕組みでアクションを起こす。

 この一連の流れは、信頼とセキュリティが担保されたプラットフォーム上で実行される。どの範囲まで業務を任せるかを、「ガードレール」で制御できるのもポイントだ。

セールスフォースの各機能をフル活用して動く「Agentforce」

 加えて、自律的な推論や意思決定を実現しているのが「Atlas推論エンジン」だ。ユーザークエリのコンテキストを解釈して関連性を絞り込み、関連性の高いデータを取得して、アクションのための計画を立てる。タスクが完了すると計画を評価して、次に備えて改良する。このサイクルによって、AIエージェントに、人のように応対するための“思考”が与えられる。

Atlas推論エンジン

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