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AMD、第3世代の企業向けAIモバイルプロセッサー「Ryzen AI PRO 300シリーズ」を正式発表

2024年10月11日 15時35分更新

文● ジャイアン鈴木 編集●北村/ASCII

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 AMDは2024年10月10日(現地時間)、サンフランシスコで開催された自社イベント「Advancing AI」の基調講演で、第3世代のAIモバイルプロセッサー「Ryzen AI PRO 300シリーズ」を発表した。

「Ryzen AI PRO 300シリーズ」を手に持つ演出はなかった

「Ryzen AI PRO 300シリーズ」を手に持つ演出はなかった

 このプロセッサーはCopilot+ PCなどのAI機能に特化。x86系アーキテクチャーが採用されており、インテルのLunar Lakeなどの競合となるプロセッサーだ。

 今回発表されたのは、「AMD Ryzen AI 9 HX PRO 375」、「AMD Ryzen AI 9 HX PRO 370」、「AMD Ryzen AI 7 PRO 360」の3製品。製造プロセスは4nmで、アーキテクチャーはCPUが「Zen 5」、GPUが「AMD RDNA 3.5」、NPUが「AMD XDNA 2」となる。

アーキテクチャーはCPUが「Zen 5」、GPUが「AMD RDNA 3.5」、NPUが「AMD XDNA 2」

 それぞれの主なスペックは下記にまとめている。上位2モデルで異なるのはNPUのTOPSのみだ。NPUの性能で差別化されているのは、AIモバイルプロセッサーならではと言えよう。

Ryzen AI PRO 300シリーズの主なスペック
モデル名 コア/スレッド数 ブースト/ベース周波数 合計キャッシュ 内蔵GPU TDP TOPS
AMD Ryzen AI 9 HX PRO 375 12C/24T 最大5.1GHz/2GHz 36MB Radeon 890M Graphics 15〜54W 最大55
AMD Ryzen AI 9 HX PRO 370 最大50
AMD Ryzen AI 7 PRO 360 8C/16T 最大5GHz/2GHz 24MB Radeon 880M Graphics

「Ryzen AI PRO 300シリーズ」には3つのモデルを用意

 「Ryzen AI PRO 300シリーズ」は、「Ryzen 7040シリーズ」(第1世代/Phoenix Point)、「Ryzen 8040シリーズ」(第2世代/Hawk Point)に続く第3世代のAIモバイルプロセッサー。コードネームでは「Strix Point」と呼ばれている。

 NPUの処理能力が第1世代は10TOPS、第2世代は16TOPSだったところ、第3世代は3倍以上の50TOPS以上と大幅に向上。マイクロソフトのCopilot+ PCの要件である40TOPSを大きく超えているわけだ。

「Ryzen AI PRO 300シリーズ」は前世代に対して3倍以上のAIパフォーマンスを実現

「Ryzen AI PRO 300シリーズ」のNPUは、企業向け次世代AI PCのなかでもっともパワフルだとアピール

 「Ryzen AI PRO 300シリーズ」の進化はNPUだけではない。「Ryzen PRO 8040シリーズ」と比較すると、コア数/スレッド数は最大8C/16Tから最大12C/24Tへ増加、内蔵GPUの12CUから16CUに増量されている。またトータルキャッシュも24MBから32MBへと増やされた。CPU、GPU、NPUのアーキテクチャーも進化しており、総合的に性能が強化されているわけだ。

CPUアーキテクチャーは「Zen 4」から「Zen 5」、GPUアーキテクチャーは「AMD RDNA 3」から「AMD RDNA 3.5」、NPUアーキテクチャーは「AMD XDNA」から「AMD XDNA 2」に変更されている

 AMDによれば、最上位の「Ryzen AI 9 HX PRO 375」は、インテルの「Core Ultra 7 165U」(12コア[2P+8E+2LPE]、14スレッド、最大4.9GHz、15W)に対して最大40%高いパフォーマンスを発揮。また、ビデオ再生で23時間のバッテリー駆動、Microsoft Teams利用時で最大9時間のバッテリー駆動を実現しているという。

 バッテリー消費の激しいMicrosoft Teams使用時に9時間の駆動時間を達成しているのは、強化されたNPUに、CPU、GPUで行なっていた処理の多くをオフロードできているためだ。

処理性能を向上させつつ、23時間のスタミナ性能も確保

Microsoft Teams動作時の処理をNPUにまかせていることで、長時間のビデオ通話を可能としている

 なお製品の公式サイトには、「Ryzen AI 9 HX PRO 375」と「Core Ultra 7 165H」(16コア[6P+8E+2LPE]、22スレッド、最大5GHz、28W)とも性能を比較しており、「CINEBENCH R24」(マルチタスク)で40%、「PassMark 11 Overall」(システム)で50%高速とされている。

AMDの製品公式サイトから転載

 AMDによれば、「Ryzen AI PRO 300シリーズ」を搭載するノートPCは、2025年までにHPやレノボなどのOEMパートナーから100台以上リリースされる予定とのこと。NPUを搭載、強化したPCが当然の時代となり、多くのAIアプリケーションが提供されることで、利便性を向上させてくれることに期待したい。

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