3Dグラフィックスのベンチも最速でした!!
バッテリーは実測20時間超え!! ついに発売となったCoreUltra2搭載ノートPC「Zenbook S14」 実機レビュー
2024年10月07日 09時00分更新
ASUSは、インテルの次世代プロセッサーLunar Lakeを搭載したCopilot+PCである「Zenbook S14」(UX5406SA)を10月3日に発売した。
本製品が搭載するのは、インテル「Core Ultraプロセッサー シリーズ2」(CoreUltra2)だ。最大47TOPSのNPUを内蔵しており、AI処理を高速に、省電力で実行できる。x86系アーキテクチャーを継承しているので、互換性も確保されている。
今回、日本で発売となる「Zenbook S14」の最上位モデルをASUSから借用したので、スペックや使い勝手をチェックしたうえで、初代インテルCore Ultraプロセッサーだけでなく、ライバルである「Ryzen AI 9 HX 370」や「Snapdragon X Elite X1E-78-100」ともベンチマークでじっくり比較してみよう。
搭載するCoreUltra2プロセッサーは3種類
ディスプレーはタッチあるなしを用意
「Zenbook S14」はOSに「Windows 11 Home 64ビット」、プロセッサーは3種類だ。
☆「Core Ultra 5 226V」
8コア[4P+4LPE]、8スレッド、4.5GHz、17W、
インテルArcグラフィックス130V、インテルAIブースト[40TOPS]
☆「Core Ultra 7 256V」・「Core Ultra 7 258V」
8コア[4P+4LPE]、8スレッド、4.8GHz、17W、
インテルArcグラフィックス140V、インテルAIブースト[47TOPS])
Ultra 7の256Vと258Vの違いは、内蔵メモリー量だけで、16GBと32GB(LPDDR5X-8533)だ。ストレージは512GB/1TB(PCIe Gen4 x4接続SSD)を搭載している。ボディーカラーはズマイアグレーとスカンジナビアンホワイトの2色で、258V搭載モデルではディスプレーのタッチとノンタッチがあるので、全部で4種類となり、8モデルがラインナップされている。
価格は、21万9800円、23万9800円、25万9800円、29万9800円だ。
ディスプレーは14型OLEDで2880×1800ドット、16:10、リフレッシュレート120Hz、応答速度0.2ms、Dolby Vision、グレアを採用。サウンド機能は1W×2、0.8W×2のDolby Atmos対応クアッドスピーカー、アレイマイクを内蔵。ディスプレー上部には207万画素ウェブカメラ(赤外線対応)を内蔵している。
インターフェースはThunderbolt 4(USB Type-C、映像出力、Power Delivery対応)×2、USB3.2 Gen2 Type-A、HDMI、オーディオコンボジャックを用意。ワイヤレス通信はWi-Fi7、Bluetooth 5.4をサポートしている。
本体サイズは310.3×214.7×11.9~12.9mm、重量は約1.2kg。72Whのバッテリーを内蔵しており、バッテリー駆動時間はJEITA 3.0で約13.1時間(動画再生時)/約19.7時間(アイドル時)、JEITA 2.0で約23.3時間、充電時間は約2.2時間と謳われている。
CoreUltra2ならWindowsアプリとの互換性と
Copilot+PCのAI機能を享受できる
「Zenbook S14」はx86系プロセッサーを搭載したCopilot+PCだ。従来のアプリケーションが動作する互換性と、Copilot+ PCに先行して搭載されるAI機能の両方のメリットを享受可能だ。
ディスプレーは、「ASUS Lumina OLED」と名付けられた14型OLEDを搭載。色の忠実性を保証する「Pantone認証」、HDR性能を示す「VESA Certified DisplayHDR True Black 500」、ブルーライトの放出が少ないディスプレーに付与される「SGS Eye Care Display」と「Low Blue Light TÜV Rheinland」が取得されている。
また水平170度/垂直170度の広視野角が確保されており、広い範囲で鮮やかな画像、映像を鑑賞可能だ。リフレッシュレートは120Hz、応答速度は0.2msが確保。クリエイティブワークにも、ゲームにも申しぶんなしのディスプレーである。
キーボードは84キーの日本語配列。キーピッチは実測19mm前後、キーストロークは実測1.2mmが確保されている。
打鍵感は良好で、しっかりとしたクリック感を備えつつ、タイピング音も低めだ。一部キーは密着しているが、\キー以外の文字キーは等幅に揃えられている。慣れれば軽快にタイピングできるはずだ。
207万画素ウェブカメラの画質は下記のとおりで、室内灯下でも明るく撮影できる。なおWindows11の「カメラ」アプリで撮影した場合、HDR proをオンにしたほうがノイズは低減するが、HDRオフのほうが質感は記録される。個人的にはHDRオフがお勧めだ。
CoreUltra1、Ryzen AI、Snapdragon Xと速度比較
CPU部はコア数のわりに善戦、内蔵GPUは爆速だ
バッテリーの持ちは驚異の20時間超え!!
最後にパフォーマンスをチェックしてみよう。今回は、Core Ultra 7 258V搭載のASUS「Zenbook S14」を、以下のノートPCと比べている。
Core Ultra 5 125U搭載:Lenovo「ThinkPad X1 Carbon Gen12」
Core Ultra 7 155H搭載:Acer「Swift Go」
Ryzen AI 9 HX 370搭載:ASUS「Zenbook S16」
Snapdragon X Elite X1E-78-100搭載:ASUS「Vivobook S15」
Snapdragon X EliteのみARM系プロセッサーで、ほかはすべてx86系プロセッサーだ。
「Core Ultra 7 258V」のベースパワーは17W、最小は8Wで、最大ターボパワーは37Wである。下記のFFベンチを最高画質で実施中のCPU電力は、34Wまで上がったので、「Zenbook S14」は、モバイルノートながら、CoreUltra2をかなり上まで回しているマシンである。高性能の冷却システムを搭載しているおかげだ。
まずCPU性能について、「Zenbook S14」は「CINEBENCH 2024」のCPU(Multi Core)は599、CPU(Single Core)は115、「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は10607、CPU(Single Core)は1582となった。
CPU(Multi Core)についてみると、
Core Ultra 5 125Uの109%相当
Core Ultra 7 155Hの67%相当
Ryzen AI 9 HX 370の60%相当
Snapdragon X Eliteの55%相当
となる。
CoreUltra2は8コア8スレッドなので、CPU性能は今回のなかでは高いとは言えないが、12コア14スレッドの「Core Ultra 5 125U」より高いスコアを記録していることは注目に値する。
GPU性能については、Core Ultra 7 258V搭載の「Zenbook S14」は非常に優秀だ。3DMark、FF XIV、FF XVのすべてで、トップのスコアを叩き出した。
特にFF XIVでは、
Core Ultra 5 125Uの174%相当
Core Ultra 7 155Hの114%相当
Ryzen AI 9 HX 370の142%相当
Snapdragon X Eliteの139%相当
と大きく引き離している。
Core Ultra 7 155H のIntel Arc graphicsより速く、Ryzen AI 9 HX 370のAMD Radeon 890Mの1.5倍近い速度は大きな魅力だ。
Core Ultra 7 258VがモバイルゲーミングPC「ROG Ally」の後継機に搭載されることを楽しみに待ちたい。
ストレージはPCIe Gen4 x4接続SSD「WD PC SN560 SDDPNQE-1T00-1102」が搭載されており、「CrystalDiskMark」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は5016MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は3437MB/sとなった。トップスコアではないものの、リード、ライト性能のバランスはいい。
バッテリー駆動時間については、「MyASUS」で動作モードを「スタンダード」、ディスプレー輝度とボリュームを40%に設定して「PCMark 10 Modern Office Battery Life」を実行したところ、20時間14分も動作した。実時間でテストするのが苦痛なくらいのバッテリーの持ち具合で、CoreUltra2の省エネぶりがよくわかる。軽量モバイルノートPC向けのCoreUltra2最大の魅力は、このスタミナ性能といってもいい。
Zenbook S14は待ちに待った
Copilot+PCの大本命ノートPCなのだ
Zenbook S14の魅力は互換性と3Dグラフィックス性能、そして驚異の省エネ性能だ。
x86系プロセッサーということで利用するアプリケーションに制限はない。そして、3DMarkではHプロセッサーを上回る3Dグラフィックス性能を発揮。リフレッシュレート120Hz、応答速度0.2msのOLEDディスプレーを搭載しているので、ゲーム用ノートPCとしてのポテンシャルも高い。
そしてバッテリー駆動時間は、実ベンチマークで20時間超えを記録した。約1.2kgのボディーでこのスタミナ性能は非常に魅力的だ。
もちろんCopilot+PCならではのAIアプリケーションを利用できるのも大きなアドバンテージだ。Zenbook S14は、Copilot+ PCの大本命である。