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業務を変えるkintoneユーザー事例 第246回

営業管理の質の向上、統一プロジェクトで変えられるか

kintoneで営業報告を5.5倍に 秘訣は「共感を得る仕組み」と「人を動かす仕掛け」

2024年10月10日 09時00分更新

文● 柳谷智宣 編集● 福澤/TECH.ASCII.jp

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 kintoneユーザーによる事例・ノウハウの共有イベント「kintone hive 2024 Tokyo」が開催された。

 今回は5番手として登壇した成田デンタルの吉原大騎氏によるプレゼン「kintoneが支えるマネプロをみんなに活用してもらいたいんじゃ!」をレポートする。

成田デンタル デジタル推進室 吉原大騎氏

社長交代で露呈したグループウェア・営業管理の課題

 成田デンタルは歯医者と歯科技工所を繋ぐ営業商社。歯形を歯科医院から預かり、歯科技工所に送り、作成された差し歯や入れ歯を検品して届けるというビジネスモデルを手掛ける。従業員は252人で、社員の8割が営業系で1日に30~40件訪問するルート営業をしている。

 kintone導入前、同社は2つの壁にぶつかっていた。1つ目の壁は、営業報告のプロセス変更から露呈した、グループウェアおよびマネージメントの課題だ。

 それまで営業の活動報告に、パッケージ版の「サイボウズ Office」を使用しており、社長が全員分の報告をチェックし、コメントし、シェアしていた。しかし、2022年に30年間務めた社長が変わる。

「新しい社長と話したところ、ピラミッド型の組織を作り、管理職の裁量権を高めたいということでした。そのため、サイボウズ Officeの営業報告は管理職がチェックしてコメントする形に変わりました」(吉原氏)

 心配になった吉原氏が営業所の所長たちにヒアリングしたところ、「自由入力だから書きづらい」「何のための活動報告なのかわからない」という辛口な意見が出てきたという。加えて、営業に使うルート表のフォーマットも営業所ごとにばらばらで、ファイルもローカルに保存していた。そのため、営業所に戻らないと編集できず、コロナ禍ではトラブルの種に。そもそも営業が月一で提出するレポートのフォーマットも統一されておらず、提出しない営業所もあるなどマネージメントにも問題があった。

 2つ目の壁は、パッケージ版のサイボウズ Officeの開発・販売が終了してしまうことだ。他のツールに移動する必要があるが、クラウド版のサイボウズ Officeは、ユーザー数の上限が300人なのでいずれ足りなくなる。そこで、吉原氏はkintoneに目を付けた。

共感を得る仕組みから始まった「営業管理統一プロジェクト」

 kintoneへの移行はコストアップするため、付加価値を付けなければ経営層は説得できないだろうと吉原氏は判断。付加価値として提示したのは、kintoneで「仕分けリスト」や「ルート表」、「月一のレポート」などのフォーマットを全社統一して、クラウドに保存することだった。

 そして、何のために書いていたのか分かりづらかった「営業の活動報告」や「顧客管理」、「売上実績」をひとつのレポートに統合。マネージメントの質を向上させることを目標とした。このプロジェクトは「全社営業マネージメント統一プロジェクト(マネプロ)」と名付けた。

kintoneを活用し、営業所ごとにばらばらだったフォーマットを統一、クラウドに保存することにした

 目指す方向性を見せた結果、経営層からもkintone導入のOKが出て、まずはスモールスタートで試すことに。プラグインはコスト的に厳しかったため、まずはJavaScriptでカスタマイズした。吉原氏は、サイボウズの公式サイト「cybozu developer network」で勉強しながら、マネプロのプロトタイプとなるアプリを開発した。

「それを取締役に見せたところ、まずは2つ3つの営業所で試して、全社展開するときはトップダウンをうまく利用して欲しいと、激熱なコメントをもらえました。kintoneでしっかりアプリを作って、体験してもらった結果だと思います」(吉原氏)

 現場とも徹底的に対話して、プラスアルファの付加価値を付けて、実際に開発したkintoneアプリを見せる。これらの共感を得る仕組みを作ったことが、kintoneの導入につながったという。

共感を得るしくみを作ることが重要

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