日本貨物鉄道(JR貨物)は9月11日、前日(9月10日)に発表した車両検査の不正問題に関連して、同社が受け持つ全貨物列車の運行を一時取り止めたことを発表した。これを受け、国内の大手物流事業者を中心に、配達遅れなど影響が出ている。
主な運送各社の遅延状況
●ヤマト運輸(9月11日16時30分現在)
ヤマト運輸では貨物列車の運休に伴い、以下の地域で荷物の配送に1日以上の遅れが生じる見込みだ。
配達遅延対象
・関東地域(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県)から九州地域、北海道宛の荷物
・九州地域(福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、熊本県、宮崎県、鹿児島県)、北海道から関東地域宛の荷物
発送対象日
・9月10日
・9月11日
また、同社のサービスセンターでは電話が繋がりにくくなったり、問い合わせへの回答に時間がかかったりする場合もあるとして、同社サイト上の「よくあるご質問(Q&A)」などを活用するよう案内している。
●佐川急便(9月11日15時30分現在)
佐川急便でも輸送網の一部に鉄道が含まれており、荷物の配送に遅れが生じている状態だ。
配達遅延の可能性がある地域
全国から北海道、東北、関東、北陸、関⻄、九州向けの荷物
9月11日以降の発送分についても、代替の輸送手段へ切替を検討するなど、遅延を最小限に抑えるため最善を尽くすとしている。
なお、同社はJR貨物の電車型貨物列車「スーパーレールカーゴ」の主要な荷主でもある。
●西濃運輸(9月11日14時現在)
西濃運輸でも運休の影響で、同社が扱う荷物を載せた貨物列車が途中駅等で一時停車する事態となっており、輸送に遅れが生じている。
同社は運転再開の目処が立っていないことから、今後も配送に大幅な遅れが生じる可能性があるとしている。
●福山通運(9月11日17時現在)
福山通運では以下の地域で一部配送遅延が発生している。
・関東→九州
・近畿→関東
・四国→関東
・九州→関東
なお、同社が貸し切って運行している専用列車「福山レールエクスプレス」については、9月11日17時現在、関東→広島便を除き、ほぼ定刻で運行しているという。
運休が長引けばさらに影響が拡大するおそれも
2024年現在、日本の鉄道貨物輸送はほぼJR貨物が独占しているため、運休が長引けば国内の物流網により深刻な影響が出かねない。同社は点検を終えた車両から運転を順次再開する方針だが、同じ路線で旅客列車を運転するJR各社との調整もあり、点検完了後すぐに運転を再開できるかはわからない。
事態が落ち着くまで、不要不急の荷物の発送や、確実な日時指定が必要なものを通販で購入することは控えてもよさそうだ。