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JR貨物、貨物列車の組み立てで不正 該当全車を運用停止に

2024年09月11日 12時15分更新

文● @sumire_kon

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 日本貨物鉄道(JR貨物)は2024年9月10日、同社の3つの車両所において、車両の輪軸組立作業時に不正行為があったと発表した。不正行為の対象となった車両については、安全が確認できるまで使用を停止する。同社の報告を受け、国土交通省も特別保安監査の実施を決めた。

組み立て時に基準値を超えた数値を改ざん

 JR貨物によると、本件は2024年7月に山陽本線新山口駅構内で発生した脱線事故を受け、同社広島車両所で車輪や歯車などの組み立て工程を確認した際、社員からの申告で判明したもの。通常、車輪や歯車は圧入という作業工程を経て完成するが、圧入力が基準値を超過した場合、問題ない数値のデータに差し替えて検査を通していたという。

 申告を受け、同社はほかの車両所についても調査を実施。結果として、前述の広島を含め、輪西(北海道)、川崎(神奈川)の計3ヵ所で類似の不正行為が判明したとしている。

 影響を受けた車両数は以下のとおり。

北海道支社輪西車両所:

・貨車309両

関東支社川崎車両所:

・貨車:218両

関西支社広島車両所:

・機関車:4両
・貨車:33両

 同社は不正が確認された車両について、安全が確認されるまで使用を停止。さらに該当する車両所での輪軸組立作業を、作業体制の再整備完了まで停止することを決めた。

 国土交通省もJR貨物からの報告を受け、同社に全車両の輪軸圧入に関する記録簿の再確認などを指示。くわえて9月11日から、安全管理体制等の確認を目的とした特別保安監査を実施する。

作業員は若干の基準値超過は問題ないと認識

 JR貨物によると、不正が判明した3車両所の作業員はいずれも基準値の扱いについて、数値が下回ると不具合を起こす可能性があるが、若干超過する分には問題はないと認識していたという。

 一般に工業製品では設計に多少の余裕をもたせる(あそびを設ける)ことは多いが、あくまで余裕であり、検査等で基準値を逸脱していいわけではない。

 なお、7月に新山口駅構内で脱線した機関車にも検査で不正のあった輪軸が搭載されていたが、事故原因は運輸安全委員会が調査中であり、9月11日時点では本件と事故との因果関係は不明だ。

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