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全社への浸透のさせ方、現場での活用アイディアの広げ方――「BoxWorks Roadshow Osaka 2024」で語る

Boxを使い倒せ! 井村屋が7年間で学んだ「定着化」「活用拡大」ノウハウを披露

2024年09月25日 11時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

提供: Box

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井村屋のWebサイト(imuraya.co.jp

 「あずきバー」「肉まん・あんまん」などのロングセラー商品で知られる、中堅食品メーカーの井村屋グループ(本社:三重県津市)。グループ全体の情報共有基盤として、2017年にクラウドストレージサービス「Box」を導入した同社では、この7年間でBox活用の幅を大きく広げてきた。

 2024年7月に大阪で開催された「BoxWorks Roadshow Osaka 2024」では、同社デジタル戦略室 課長の山崎光一氏が、Box活用の幅を広げ、全社で使い方を進化させてきた7年間を振り返った。講演後、山崎氏とデジタル戦略室長の岡田孝平氏に行った個別インタビューの内容もまじえながら、井村屋がどのように“コンテンツハブ”Boxの可能性を広げてきたのかをうかがった。

井村屋グループ 執行役員常務 デジタル戦略室長の岡田孝平氏(右)、デジタル戦略室 課長 山崎光一氏(左)(BoxWorks Roadshow Osaka会場にて)

メール添付やファイルサーバーの代替手段として始まったBox導入

 明治29年(1896年)に創業し、127年の歴史を持つ井村屋は、年間売上高が約482億円、従業員数が944名(いずれもグループ連結、2024年3月期)の中堅食品メーカーだ。「おいしい! の笑顔をつくる」をパーパスとして、菓子、食品、デイリーチルド、冷菓、冷凍和菓子、点心・デリ(肉まん・あんまん)やフードサービス事業を手がける。中国、米国、マレーシアのグループ会社を通じて海外展開も図っている。

 井村屋グループがBoxを導入したのは2017年のこと。導入のきっかけは、社長から「メール添付ファイルの暗号化対策はどうなっているのか」と問われたことだという。当時は何も対策を取っていなかったため、デジタル戦略室(当時はシステム部)では早急に検討を進めることにした。

 オンプレミスシステムも含めてさまざまな方法を検討した結果、添付ファイルの容量制限がなく、社内での“シャドーIT”横行の防止につながり、さらにはBCP対策も強化できることから、ちょうど更新時期を迎えていたファイルサーバーをクラウドストレージサービスに移行し、メールでのファイルのやり取りにもそれを使うことにした。

山崎氏は「BoxWorks Roadshow Osaka 2024」で講演を行った

 複数のクラウドストレージを比較検討し、Boxに決めた理由は3つあったという。それは「多くの企業が採用しており、信頼できるサービスであること」、「グローバル対応ができること(特に同社の拠点がある中国でも利用できること)」、「数多くの外部SaaSとの連携ができること」だと、山崎氏は語る。

 「Boxさんのセールス担当の方が三重県の本社まで足を運んでくださり、非常に熱く『井村屋さんがBoxを導入しない理由はどこにありますか?』とプレゼンしていただきました。『この自信の背景には何があるのだろうか……』と不思議に思い、そこからBoxの検討が進んだわけです(笑)」(山崎氏)

Box選定のポイント。Boxセールス担当から自信を持って導入をプッシュされたことも決め手になった

 井村屋グループでは2017年7月にBoxの導入を決定し、およそ2カ月間の検証期間を経て、本格展開をスタートした。導入当初、山崎氏や岡田氏は全国の拠点を何度も回り、一部署ずつ丁寧にBoxの説明会を行っていった。もっとも、2017年当時はまだクラウド全般に対して不信感を持つ社員も少なくはなく、Boxの利用に難色を示す部署もあったという。

 「ただし、海外貿易や経営戦略などの部署では積極的に使ってくれました。そこから社内メールでBoxの共有リンクが飛び交うようになり、社内での認知度もだんだんと高まっていきました。まずはBoxの効果がすぐに出そうな部署を狙ってアピールすべきだったんだな、と学びました」(山崎氏)

 一方で岡田氏は、Boxの導入当初は「『Boxでできること』を一生懸命探していました」と明かす。Boxという新しいツールを、単純に「ファイルサーバーの置き換え」や「メール添付ファイルの代替手段」としてだけ使うのはもったいない。毎月一定の利用料がかかるなら、Boxの利用用途を増やしてもっと“付加価値”を高めたい、というわけだ。

 「現場の社員たちも『新しいこと』には興味を示してくれました。たとえば商品開発の現場と話し合いながら、ずっと紙やマイクロフィルムで保管されてきた開発レシピを電子化し、そのノウハウを“先人の知恵”として社内の誰もが活用できるようにする、といった取り組みですね」(岡田氏)

 さまざまな現場に行って業務課題をヒアリングし、デジタル戦略室の側から解決策となるBoxの活用提案を行う――。その繰り返しの結果、井村屋のBoxユースケースはあらゆる現場へと広がり、Boxの付加価値は高まっていった。

Box導入初期のユースケース例。デジタル戦略室が主導し、社内の協力を得ながら、さまざまなユースケースを開発していった

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