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CMC_Centralで聞いたコミュニティマネージャー側の視点

KPI、熱量、自走化の課題 コミュニティ運営のベテランたちが語り尽くす

2024年09月06日 07時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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コミュニティの自走はあくまで現象 目指すべきモノではない

 最後は「コミュニティの理想」とはなにか? ここで避けて通れないのが、「コミュニティの自走問題」。「正確に言うと、『自走しなければいけないという呪縛の問題』なのかもしれない」と長崎さんは語る。岡本さんが「コミュニティから中の人になった立場からすると、自走させなければというのはあるかもしれない」と語ると、松下さんは「呪縛でもあり、願いでもあるかもしれない」と語る。

 こうした呪縛は果たしてあるのか? 岡本さんは「自走って結局、現象なので、それを目指すモノではないとは思っています」と語る。重視すべきは、あくまで参加者がコミュニティに参加して実現したいことを達成すること。結果としては自走がよいかもしれないが、目指すべきモノではないのでは?というのが岡本さんの意見だ。

 たとえば、今も全国で数多くの勉強会が開催されているAWSのユーザーグループのJAWS-UG。「あの規模となると、いくらSAさんがいても回せない。自走しないと、あの開催回数は実現できない」と岡本さん。JAWS-UGの参加者でもある松下さんは「企業側がサポートしなくても勝手に回ってくれればいいなとは思っている。でも、企業側がサポートすることによって、より面白いコンテンツができるといいなとも運営側としては思っている」とコメントする。

 企業側がネタを提供し続けている状況はけっこう苦しいと松下さんは語る。「僕も持っているカードは多くないので。でも、コミュニティ側がこんなことやりたいと言ってくれるととてもうれしい。だから、両方でネタを出し合って両方楽しめるのが、僕にとってのコミュニティの理想」(松下さん)。企業側とコミュニティ側でお互いに課題に向き合い、切磋琢磨できるのが一番よいという持論だ。

理想は企業とコミュニティが「同じ船に乗った仲間」に

 「51対49でたまたま企業側にいるくらいの割合で、いっしょに仲間としてやっているのがいい」という松下さんのコメントに、岡本さんも「めっちゃわかります」と納得。長橋さんも「コミュニティマネージャーもコミュニティメンバーであるということですよね。明確な線引きと言うより、グラデーションの中のある一部分を切り取っただけという話ですね」とまとめる。

 結局、企業側もSaaSやサブスクでビジネスを伸ばしたいし、コミュニティメンバーもSaaSをうまく活用したり、新しい出会いを得て、ビジネスを伸ばしたい。「同じ目的をもった共犯者?(笑)」と岡本さんが語ると、長橋さんは「同じ船に乗る仲間ですかね」とナイスなリフレーズを提供する。

 今後について聞かれた岡本さんは、「個人的にコミュニティを通じて2回転職しているので、コミュニティがキャリアアップという観点でも、仕事がうまくいくのかという観点でも、とにかく夢のある場所になるといいなと思っている」とコメント。松下さんも「言われちゃったけど、とにかくコミュニティのメンバーを仲間としていっしょにやっていきたいという気持ちはずっと持っている。だから、ユーザーグループの面々から嫌われないようにしないと(笑)」とコメントする。企業側もユーザーと同じ目線でサービスを語り、楽しみ、学び、成長する場所が、コミュニティとあるべき姿のようだ。

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