各社の技術と製品を組み合わせ実現、複数DCでのデータ分散環境も経済的に実現へ
400Gbpsデータセンター間接続を大幅に低コスト化、NTTら9社がIOWNソリューション
2024年09月04日 13時00分更新
NTT、NTTアドバンステクノロジ、ACCESS、IP Infusion、Broadcom、Edgecore Networks、UfiSpace、富士通オプティカルコンポーネンツ、NECの9社は、2024年9月4日、400Gbpsのデータセンター間接続を低コスト・低消費電力で構築できる「IOWNネットワークソリューション」を提供開始した。
同ソリューションは、これまでスイッチ/ルーターと伝送装置の2つに分かれていたデータセンター間接続機器をパッケージ化し、ニーズに応じた選択も可能にすることで、構築運用コストと電力消費量を最適化するもの。
昨今の生成AIや機械学習の普及に伴い、データセンターにおいてはデータ量や消費電力が爆発的に増えている状況だ。新ソリューションの開発背景について、NTT技術企画部門 統括部長の島津義嗣氏は、「データ量が増加していく中では、複数データセンターにデータを分散して処理を行うというニーズが高まる。そのため、データセンター間接続にも経済的な構築運用と、消費電力の低減を実現する手段が求められていく」と説明する。
400Gbpsのデータセンター間接続を低コスト・低消費電力に
IOWNネットワークソリューションでは、400Gbpsの長距離伝送が可能なスイッチ/ルーターが提供される。各社の技術や製品を組み合わせた構成により、NTTが試算する一般的なデータセンター間接続環境と比べて、構築運用コストを50%、また電力消費量を40%削減できるという。
コスト最適化を実現したひとつ目のポイントは、オープン化によって、スイッチ/ルーターを構成するホワイトボックス装置と光トランシーバーを選択できる点だ。
従来のデータセンター間接続では、ソフトウェアとハードウェアが一体型のスイッチ/ルーターが用いられ、そこに組み合わせることのできる光トランシーバーも特定ベンダーの製品に限定されていた。「“一式”での調達になるため、ベンダーロックインの状態になり、コストが高止まりするのが課題だった」と島津氏。
一方、IOWNネットワークソリューションでは、ソフトウェア(ネットワークOS)とハードウェア(ホワイトボックス装置)を分離。これにより、ホワイトボックス装置はEdgecore Networks、UfiSpaceの2社から選択できるようになっている。なお、これらの装置のスイッチング/ルーティング処理にはBroadcom製のASICが搭載される。
また、ここに組み合わせられる光トランシーバー(QSFP-DDモジュール)もオープン仕様としており、富士通オプティカルコンポーネンツ、NECの2社から選択できる。このように、ユーザーの環境や用途に合わせて柔軟なハードウェアを組み合わせることで、コスト最適化を図ることができる。
なお、ホワイトボックス装置に対応するネットワークOSは、ACCESSとその米子会社であるIP Infusion、NTTアドバンステクノロジ、NTTが共同開発したもので、NTTのキャリアネットワークでも利用される保守や監視などの豊富な機能が提供される。
もうひとつのポイントは、従来は別の装置に分離されていた伝送の機能をスイッチ/ルーターに集約した点だ。同ソリューション(スイッチ/ルーター)にNTTイノベーティブデバイスの「光電融合デバイス」を内蔵することで、光トランシーバーを使った長距離伝送が外部装置なしで可能になった。これにより、伝送装置にかかるコストや消費電力を削減できるほか、低電力で稼働する光電融合デバイスによる省電力化も図られる。
このように、NTTを始めとする各社の技術や製品を組み合わせて生まれたのが、IOWNネットワークソリューションとなる。ソリューションの販売は、NTTアドバンステクノロジとIP Infusionが担い、ワンストップな構築・保守と共に、国内およびグローバルそれぞれで展開する。島津氏は「データセンター間接続のグローバル市場規模はおよそ15億ドル。その中で一定のシェアの獲得を目指していく」と語った。
今後の展開については、データセンター間接続のさらなる高速化・大容量化に取り組むと共に、GPU利用の増加でニーズが高まるデータセンター内ネットワークへの適用も目指していく。さらに、今回のIOWNネットワークソリューションをIOWN APN網と接続することで、ユーザーの拠点やデバイスと接続するアクセスネットワークの高度化にも取り組む計画だ。