宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月26日、通信が途絶していた「小型月着陸実証機(SLIM)」の運用を正式に終了したことを発表した。
SLIMは、探査機の軽量化や月面でのピンポイント着陸の技術を実証するために開発された探査機。2023年9月7日に種子島宇宙センターからH-IIAロケットで打ち上げ、翌2024年1月20日に世界初となる誤差10m程度以下のピンポイント月面着陸に成功した。
着陸後に予定とは異なる姿勢となっていることが判明し、太陽光パネルから計画通りの電力を得られないといったトラブルもあったが、目標としていた観測データの取得は問題なく完了。さらに搭載したマルチバンド分光カメラ(MBC)による10バンド(波長)の分光観測で想定を超える10個の岩石を観測したり、対応する装備をもたない状態で月面での越夜に3回成功したりするなど、本来の計画を超える成果と経験をJAXAにもたらしている。
同機は2024年5月に着陸地点の夜が明けたことを受けて再起動を試みたが、地球からの通信に応答しないまま夜に突入。その後、6月と8月の再挑戦でも応答がなかったことから、8月23日22時40分(日本時間)頃にSLIMに対し、活動停止を命じるコマンドを送信。正式に運用を終了した。
【SLIM運用終了のお知らせ】
— 小型月着陸実証機SLIM (@SLIM_JAXA) August 26, 2024
8/22,8/23にSLIMプロジェクトは再度通信を試みましたがSLIMからの応答はありませんでした.そのため,今後もSLIMとの通信復旧の見込みはないと判断し,23日22時40分ごろにSLIMの活動を停止させるコマンド送る停波運用を行いました. pic.twitter.com/bhKH1mkuqI
JAXAでは今後、SLIMの詳細な成果について総括し、別途報告するとしている。