「Homeworld 3」
ゲーム検証最後はHomeworld 3で締め括ろう。画質“低”、アップスケーラーはFSR 2かつレンダースケールは100%とした。ゲーム内ベンチマーク再生中のフレームレートを計測した。
ベンチマーク開始直後から冒頭4割程度の時間は、CPUバウンド(CPUがボトルネックになる)となり、後半は圧倒的なGPUバウンドとなる。CPUの並列度は3D V-Cache搭載モデルでしっかり効いているのに、Ryzen 9000シリーズや非X3DなRyzen 7000シリーズでは効いてないという点、さらにDDR5-6000を追加するとフレームレートが大きく伸びるという点から、メモリー帯域がこのゲームにおける生命線であることが分かる。DDR5-5600程度ではこのゲームにとっては足らないということだろうか。
CPU単体の消費電力はCore i9-14900KやCore i7-14700Kが飛び抜けて高いが、システム全体で考えるとRyzen 9 9950Xと20Wも変わっていない。Homeworld 3におけるワットパフォーマンスとしてはRyzen 9000シリーズは第14世代のCoreプロセッサーよりやや良い程度にとどまる。
ゲームでもRyzen 9000シリーズは強いが、3D V-Cache搭載モデルの登場が待たれる
Ryzen 7 9700XおよびRyzen 5 9600Xは、前世代に比べて性能の伸びが鈍い場合もあるが、低発熱でも高パフォーマンス、空冷クーラーでも十分扱えるという“尖ったキャラ”が魅力だった(その魅力をBIOS更新でTDP 105W化して潰そうとする“噂”もあるが……)。
しかし、今回のRyzen 9 9950XおよびRyzen 9 9900Xはマルチスレッド性能は下位モデルよりも伸びている反面、強烈にいいという感じはしない。
動画エンコードやCGレンダリングのような馬力重視な用途ではいいが、Photoshopでの処理や本稿で解説したゲームのようにTDP枠をフルで使わない状況では性能は伸び悩む。特にCCDが2基であるという構造が逆に足かせになっている例も多々見られた。
無論ゲームでもコア数がある程度有利になる場合もあるし、裏で「OBS Studio」や「Discord」といったツールを動かしたいのであれば、Ryzen 9が輝くシーンもあるだろうが、ゲーム用途にはまだ力を発揮できないと言わざるを得ない。
とはいえ、AMDの製品はロングテールでパフォーマンスが改善していくものである。AGESAやドライバー、Windows側との摺り合わせの改善などで今後伸びていくことを期待したい。

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