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山本 敦の「新選! オーディオレポート」 第44回

【検証レポート】moraで買った音源をApple Vision Proで聴く方法

2024年08月03日 12時00分更新

文● 山本 敦 編集●飯島 恵里子/ASCII

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コントロールセンターから空間オーディオのオン・オフ、ダイナミックヘッドトラッキングの有効化を逐次選択できます

Apple Vision Proで空間オーディオやロスレス再生を聴く

 Apple Musicが配信する、ドルビーアトモスによる空間オーディオのコンテンツはApple Vision Proにも対応しています。本体左右のバンドに内蔵するオーディオポッドが鮮やかな立体サウンドを再現します。もしも空間オーディオで制作されているはずの楽曲が、空間オーディオで再生できなかった場合は、本体の「設定」から「アプリ」>「ミュージック」>「ドルビーアトモス」を選び、「自動」か「常にオン」にします。

 Apple Vision Proは、本体を装着するユーザーの顔の向きを検知しながら、コンテンツのサウンドの定位を連動させるダイナミックヘッドトラッキングの機能を搭載しています。コントロールセンターを開いてから、コンテンツの音量コントロールをピンチ・ホールドすると空間オーディオとヘッドトラッキングの効果が選べるようになります。

 元が空間オーディオで制作されていないコンテンツも「空間化」できます。visionOSの場合、iOSやiPadOSのように「ステレオを空間化」と明記したメニューは表示されませんが、空間オーディオやヘッドトラッキングのオン・オフを切り替えると効果の有無は明らかです。

 Apple Vision ProはApple Musicが配信する最大48kHz/24bitのロスレス再生にも対応しています。ビットレートが48kHzを超えるハイレゾロスレス再生は不可。iPhoneのようにハイレゾ再生に対応する外部USBオーディオ機器を接続する手段は今のところありません。

Apple Musicのロスレス再生は最大48kHz/24bit対応。アプリの設定からロスレスオーディオをオンにします

CD音源や音楽配信サイトで購入したファイルを聴く

 CDからリッピングしたり、音楽配信サイトで買った音楽ファイルをApple Vision Proで聴く方法も検証しました。

 CDの音源についてはMacで取り組み、ミュージックアプリのライブラリに追加すればユーザーのアカウントに結びついているAppleデバイスで聴けるようになるはずです。でも、なぜか筆者の環境ではApple Vision Proの方で楽曲は表示されるものの再生ができません。もう少し時間をかけて原因と解決策を追求しようと思います。

 音楽配信サイトのmoraで購入した楽曲の中には、Apple Musicで聴けない作品もあります。Apple Vision Proで楽しむ方法はいくつかあると思いますが、筆者はvisionOSと互換性のあるラディウスのiOS対応音楽プレーヤーアプリ「NePlayer」を使いました。

ラディウスの「Ne Player」アプリがiPhone/iPad互換のアプリとしてApple Vision Proにインストールできました

 NePlayerには音楽配信サイトのmora、e-onkyo music、OTOTOYで購入した楽曲のファイルを、PCを介さず直接アプリにダウンロードして聴ける機能があります。Apple Vision Proのストレージに保存して楽しむこともできました。デバイス性能の上限は48kHzまでになりますが、同じ楽曲をApple Musicで再生するよりも明らかに多くの情報量が引き出せます。

mora.jpで購入したハイレゾを含む音源が、Apple Vision ProにインストールしたNe Playerアプリも購入履歴をたどってデバイスにダウンロードできました

元が96kHz/24bitのハイレゾ音源を再生。Apple Vision Proの上限により48kHz/24bitのダウンコンバート再生になりますが、より濃厚なサウンドが楽しめます

Ne Playerによる再生も空間化に対応。ヘッドトラッキング再生も楽しめました

 Apple Vision Proは「ディスプレイと音楽プレーヤー機能も備える、ヘッドマウント型ウェアラブルデバイス」という異色のデバイスです。visionOSネイティブ、またはiOS/iPadOS互換の音楽再生系アプリが増えて、楽しみ方のバリエーションが広がることも期待できると思います。

 

筆者紹介――山本 敦
 オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

 

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