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「ChatGPT」一強時代の終わり 狙われるAIの王座

2024年07月25日 11時15分更新

文● 田口和裕

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 OpenAIはこれまで「ChatGPT」および「GPT-4」で大規模言語モデル(LLM)市場を席巻してきた。2022年11月のChatGPT発表、2023年3月のGPT-4リリース、そしてマイクロソフトからの巨額投資により、OpenAIの独走が決定的かに見えた。しかし、その独占的地位は揺らぎつつある。

次々に登場する高性能なLLM

 OpenAIがGPT-4からGPT-5へのメジャーアップデートに苦戦している中、ライバル勢が急速に台頭してきている。グーグルは「Gemini 1.5 Pro」、Anthropicは「Claude 3.5 Sonnet」、メタは「LlaMA 3.1 405B」と、GPT-4に匹敵する性能を持つモデルを次々と発表している。

Mistral Large 2

 特筆すべきは、オープンソースLLMの急速な進化だ。たとえばフランスのAIスタートアップMistralが7月24日(現地時間)に公開した「Mistral Large 2」はコーディングベンチマークでGPT-4、Claude 3 Opus、Llama 3 405Bと同等、指示追従能力でLlama 3.1 405BとClaude 3 Opusを上回り、Claude 3.5 SonnetやGPT-4と同等の性能を見せるなど、ほぼ性能的には拮抗していると言っても差し支えないだろう。

 ただし、「オープンソース」の定義自体が問題視されている点も見逃せない。研究目的での使用のみに制限されているモデルも多く、商用利用や再配布の自由が制限されている場合がある。

 この「準オープンソース」とも呼べる状況は、AIの民主化を謳いながらも、実際には大手企業による技術独占を維持する手段として機能している可能性があるとも指摘されている。

ChatGPTの地位はまだ盤石

出典:First Page Sage

 米マーケティング会社「First Page Sage」が7月8日に発表した記事によると、LLMの応用例であるチャットボット市場では、現在もChatGPTが61.3%という圧倒的なシェアを維持している。しかし、Microsoft Copilot(15.6%)やGoogle Gemini(13.3%)が着実にシェアを伸ばしており、ChatGPTの月間アクティブユーザー数は2023年6月に前月比10%減少したとの報告もある。

 今後はOpenAIに加え、Google、Anthropic、Meta、Mistral AI、さらには中国のBaiduやAlibabaなども含めた世界規模でのLLM開発競争が激化すると予想される。

 かつてのOpenAI一強から群雄割拠の時代に移行しつつあり、多様な選択肢が生まれることで、LLMの更なる発展が期待できる。

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